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臨床医からの質問に答える
尿定性検査の白血球反応と尿沈渣検査で白血球数の乖離が時折みられるのですが,どのような要因が考えられるのでしょうか?
著者: 丸橋遼太1
所属機関: 1順天堂医学部附属浦安病院臨床検査医学科
ページ範囲:P.828 - P.831
文献購入ページに移動尿中白血球の測定は,腎・泌尿器系の炎症の診断に重要な指標となる.尿中に出現する白血球のほとんどは好中球であり,その主要な原因は尿路感染症である.膀胱炎,腎盂腎炎,前立腺炎では多数の好中球が尿中に出現する.好中球以外では,慢性尿路感染症や糸球体腎炎,抗癌剤治療中では単球,間質性腎炎やアレルギー性膀胱炎では好酸球,腎移植による拒絶反応やリンパ管尿管瘻ではリンパ球が出現する4〜6).
一方,尿白血球試験紙は尿路感染症のスクリーニング検査として,尿中亜硝酸塩検査と併せて用いられている.白血球試験紙法は尿中白血球のもつエステラーゼ活性により,基質よりインドキシルやフェニルピロールを生成させ,ジアゾカップリング反応でジアゾ色素にすることで呈色させている(図1).好中球は強いエステラーゼ活性をもつが,単球は弱く,好酸球とリンパ球は活性をもたない.また,尿試験紙は原理上,多くの偽陽性,偽陰性要因をもつことに注意が必要である.
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