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文献詳細

雑誌文献

検査と技術5巻1号

1977年01月発行

文献概要

おかしな検査データ

10月号出題の答

著者: 笠原和恵1

所属機関: 1岡山済生会病院臨床検査科

ページ範囲:P.20 - P.20

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 与えられたE. coliのうち,数株が尿素分解と判定され,分枝式によるMinitekの同定システムでは尿素が岐点となるため,Yersinia enterocoliticaと同定された.この尿素分解(+)の判定はpHの変化によるものである.私たちはこの数例についてジアセチルモノオキシム法で残存尿素を測定し,表に示す結果を得た.表にみられるように,未使用ディスクより溶出した尿素値とE. coliの残存尿素値の吸光度には大差がなく,尿素の残存が示唆される.また一方,尿素分解(+)対照のProteus vulgarisは顕著に吸光度において低値を示した.
 従って,他の因子によってpHに変化がもたらされ,陽性の誤判定を生じたものと考える.一般に細菌の同定に関しては,pHの変化によって代謝産物を推定しているが,私たちの指摘したリジン脱炭酸試験同様,簡易法になればなるほど他の因子によるpHの変化が生じやすく,まぼろしの陽性反応を来すことに留意すべきであることを痛感し,本問題を提出した.もちろん,同定に先だち集落の性状などの基本的観察の必要性は論をまたないが…….

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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