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文献詳細

雑誌文献

検査と技術5巻10号

1977年10月発行

測定法の基礎理論 なぜこうなるの?

中和試験

著者: 河野均也1

所属機関: 1日大臨床病理

ページ範囲:P.741 - P.744

文献概要

 細菌やウイルスなどの病原微生物や異種タンパクなどの抗原物質が,我々人間をはじめ動物の体内に侵入してくると,体内ではこれら侵入抗原と特異的な反応(抗原抗体反応)を起こす抗体が産生されるようになる.侵入してきた抗原の刺激に基づいて体内で産生された抗体は,刺激した抗原と試験管内で混合すると通常は凝集反応や沈降反応,あるいは溶血反応など,肉眼的にも認めることのできるような反応を起こすため,抗原抗体反応を応用すれば検査材料中に特定の抗原,あるいは抗体が存在するか否かを確かめることができる.また,抗原抗体反応はその結果として試験管内で凝集塊を作ったり,沈降物を形成したり,あるいは溶血などの現象を引き起こすばかりでなく,抗原が本来持っているはずの毒性や感染性などの生物学的な働きを失わせる場合の多いことが知られている.
 すなわち,ジフテリアなどの菌体外毒素と,毒素を動物に注射して作った抗体(抗毒素)を試験管内で混合・反応させた後,モルモットやウサギなどジフテリア毒素に感受性の高い動物に注射すると,毒素は既に抗毒素の働きで無毒化されているために動物は死をまぬがれる.また,病原微生物についても,ある特定のウイルスに感染後の患者血清と,感染したウイルスと同種のウイルスを試験管内で混合すると,そのウイルスは感染性を失い感受性のある動物に混合液を接種しても発病しなくなる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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