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文献詳細

雑誌文献

検査と技術5巻2号

1977年02月発行

おかしな検査データ

何が酵素反応を妨害したか?

著者: 池田清子1

所属機関: 1慈恵医大病院中検

ページ範囲:P.139 - P.139

文献概要

 クレアチニンデイミナーゼ(E.C.3.5.4.21)は,クレアチニンを特異的に分解(脱イミノ)する酵素である.私たちがこの酵素を利用して実験していた時に生じたおかしな現象,特に尿の検査での問題点を考え,皆様の参考としたい.
 クレアチニンのJaffe反応でどの程度他の物質を誤って測り込んでいるかの検討のため,オートアナライザーによるルーチン検査(Jaffe反応呈色)と平行して,依頼のあった尿全部について,上記の酵素反応をさせた試料を再測定することにした.1週間,10日と何ごともなく過ぎたある日,問題が生じた.測定担当者が,"何時間酵素を作用させても,値が全然下がりません(脱イミノが全然起こらない)"と1本の試料を持って来た.その後1週間のうちに,50〜100%Jaffé反応が残る尿が4本も見つかった.しかし,そのうち3本は同一患者であった.薬剤干渉を考え,病室に連絡し,主治医に病状と投与薬を教えてもらったところ,2名とも高血圧の患者で,アドナを投与していた.in vitroによる実験では,アドナはそれ自体の着色のためわずかに(+)の誤差として認められたに過ぎなかった.薬剤干渉でないとすると,それ以外の本酵素の阻害物質が尿中に存在することになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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