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文献詳細

雑誌文献

検査と技術5巻4号

1977年04月発行

文献概要

測定法の基礎理論 なぜこうなるの?

タンパク凝固,沈殿の原理

著者: 松村義寛1

所属機関: 1東京女子医大生化学

ページ範囲:P.253 - P.256

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 タンパク質には水に溶けうるもの,塩溶液に溶けるもの,全く水には溶けないものがある.生体は多量の水からできているから,水溶性であるかどうかは常に関心の的となるもので,毛髪,爪,皮膚などの構成成分であるケラチン,エラスチンのようなタンパク質は水に溶けないが,細胞内外の種々のタンパク質,殊に酵素タンパクはすべて水に溶けた状態にある.水に溶解しているタンパク質は条件が変化すると沈殿となり,あるいは凝固することがある.
 タマゴをゆでると固形となり,タンパク尿にスルホサリチル酸を添加すると白濁するなど,日常作業にタンパクの凝固沈殿現象が出現する.ゆでタマゴは冷却しても生タマゴにはもどらないが,スルホサリチル酸による沈殿はアリカル性にすれば消失する.アルブミンの熱変性は不可逆であるが,常温での試薬による沈殿は可逆的である.
 ゆでタマゴを作る場合に沸騰している湯を使わないで,60℃くらいのお湯に1時間以上浸しておくと,白味は凝固せずに黄味だけが固まってくる.オボビテリンの凝固温度はアルブミンのそれよりも低温であるからである.核タンパク質のヒストン,プロタミンなどは100℃に加温しても熱凝固は起こさない.酵素の失活する温度もいろいろで,熱に極めて不安定なものから,煮沸しても活性の低下しないものなどが知られている.毛髪のケラチンははじめから水にも不溶性であるから熱凝固性の有無は分からない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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