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文献詳細

雑誌文献

検査と技術5巻4号

1977年04月発行

文献概要

技術講座 病理

組織標本の作り方.1—固定

著者: 油井慎曄1

所属機関: 1国立東京第二病院病理科

ページ範囲:P.284 - P.286

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 病理組織標本を作製するにはまず組織を固め,それを薄く切り適当な染色を施しそれを封ずることで目的が達せられるが,この行程が適切にいかないと失敗をまねき,顕微鏡観察に際して所見を誤らせる原因となる.また特にこの行程のうちでいわゆる固める部分(固定,包埋)が一番大切なところであり,これはやり直しができない.
 固定の原理面についてはどこの成書にも記載されているので詳しくは述べないが,煮沸,乾燥,凍らせるなどの方法を除いては,一定の薬剤を使用して細胞内構成成分の特にタンパク,脂質,含水炭素などを速やかに不溶解性にすることである.組織内に浸み込む力が大きく速やかであっても,凝固が乏しいもの(アルコール,ピクリン酸),凝固力が大であっても組織に浸み込む力が遅いもの(ツェンカー,昇汞),つまり固定液のよしあしはタンパク凝固の機序が問題である.単独で使用すればタンパク凝固力は極めて弱くとも,例えば酢酸を加えることにより組織内浸透作用が加わり,すばらしい効果を上げるようになるものもある.これらはまず,酢酸が組織内に浸み込み,一定の漸進作川を与えながら復合試薬(重クロム酸系)が乗じて固定の素地を作るわけである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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