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文献概要
文豪と死
島崎 藤村
著者: 長谷川泉1
所属機関: 1医学書院
ページ範囲:P.312 - P.312
文献購入ページに移動「破戒」には社会的なスケールと広がりがあり,解決が個人の狭いわくの内では処理できないような幅を持っていた.これに対して「蒲団」は花袋自身とその周辺をモデルにしたこともあって,私小説的な傾斜を示すものであった,小市民生活の中に押し込められた薄汚れた官能が,当時としては露骨な描写として注目された.日本の自然主義は「破戒」の線上に発展することなく「蒲団」の線上に発展することになってしまったところに,私小説的なのめり込みと限界を持つことになった.
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