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文献詳細

雑誌文献

検査と技術5巻6号

1977年06月発行

文献概要

技術講座 細菌

Klebsiella,EnterobacterおよびSerratiaの鑑別同定

著者: 田村和満1 坂崎利一1

所属機関: 1国立予防衛生研究所細菌第1部

ページ範囲:P.438 - P.441

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1.集落の性状
 いかなる菌の場合でもそうであるが,臨床細菌検査における菌の同定は,すべて分離培地上の集落の外観からはじまり,生化学的テストのみに依存してはならない.腸内細菌,とくにVoges-Proskauer陽性菌種では,集落の観察でおおよその見当のつくことがしばしばある.Klebsiella,EnterobacterおよびSerratiaの中で特徴的な集落を形成するのはKlebsiellaである.Klebsiellaは大きな莢膜をもつために,その集落はムコイド型で混濁し,中心部が乳頭状に突出する,ときにはいちじるしく粘ちょう性を帯びることがある.また孤立集落でも培養時間が長くなると近接集落と融合する傾向がある.MacConkey寒天やDHL寒天上では通常乳糖発酵性集落を作るが,集落の着色は中心部の乳頭状突出部のみで辺縁は無色にとどまり,他の菌属のものと明らかに区別できる.乳糖遅または非発酵性のK. ozaenaeやK. rhinoscleromatisは,生化学的に他の菌種と鑑別することは必ずしも容易ではないが,集落の外観がまず頭にあれば,生化学的に同定することは大して困難ではない.しかし,Enterobacter aerogenesの菌株のみはKlebsiellaのそれと同様なムコイド集落を作るものが多いので,集落の外観のみでKlebsiellaと判断することは危険である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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