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文献詳細

雑誌文献

検査と技術5巻7号

1977年07月発行

文献概要

技術講座 一般

アルカプトン尿

著者: 川上圭子1

所属機関: 1虎の門病院生化学科

ページ範囲:P.527 - P.529

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 アルカプトン尿は1895年Boedekerにより初めて報告されたもので5),患者の尿を空気中に放置すると短時間のうちに褐色あるいは黒色に変化する.また,アルカリ性にすると直ちに黒変する.これはフェニルアラニンとチロジンの代謝過程(図1)2)でhomogentisic acidoxldaseの欠損によりhomogentisic acid(2,5-dihydroxyphenyl acetic acid)から先に代謝が進まず,ホモゲンチジン酸が体内に増加し尿中に排泄されるためで,劣性常染色体遺伝である.幼児の下着などに尿が付着し,それが黒変することなどから発見され,臨床的症状は尿を放置すると黒変する以外に健康者と変わらない.年月がたつと,軟骨その他の結合組織に沈着して黒変し,組織黒変症(Ochronosis)と言われる.時には耳殻,腋窩,耳垢が黒色になり眼球,角膜の外側強膜に褐色汚染が見られる.軟骨の変化として慢性関節炎症の変化を起こすことがあるが命を縮めることはない1)
 ホモゲンチジン酸は腎より排泄されやすく(腎クリアランス400〜500ml/分),アルカプトン尿患者でも血中濃度の上昇は見られない2).従って尿中のホモゲンチジン酸の増加または血中のhomogentisic acid oxidaseの欠損を調べることが診断の決め手となる.最も検出率の高い酵素法を用いても正常尿,血液中にホモゲンチジン酸は認められず2),アルカプトン尿症では通常3〜5g/日の排泄がみられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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