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文献詳細

雑誌文献

検査と技術50巻1号

2022年01月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

イサツキシマブ投与前になぜ輸血部門に連絡をする必要があるのでしょうか.

著者: 井手大輔1

所属機関: 1近畿大学病院輸血・細胞治療センター

ページ範囲:P.68 - P.71

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はじめに

 イサツキシマブは多発性骨髄腫の治療に使われる分子標的薬で,抗CD38抗体が骨髄腫細胞上に発現するCD38に結合し効果を発揮します1).その他に同様の薬としてダラツムマブがあります2).これらの薬は抗CD38治療薬と呼ばれます.今回のテーマ「イサツキシマブ投与前になぜ輸血部門に連絡をする必要があるのでしょうか」に対する回答を最初に述べます.それは“投与された抗CD38治療薬が輸血検査に影響を与えるから”です.さらに投薬前後で輸血検査に特別な対応が必要となります.これらはあくまで投薬情報が輸血検査部門に共有されている場合であって,投薬情報が輸血検査部門に共有されていない場合は,輸血検査が誤った方向に進み,結果の判定ができない,輸血が準備できない状況になる可能性も考えられます.今回は,抗CD38治療薬と輸血検査の関係を以下の3つに分けて解説します.

・なぜ輸血検査に影響を与えるのか

・投与前後の輸血検査

・投薬情報を共有する重要性

参考文献

1)Sunami K, Suzuki K, Ri M, et al : Isatuximab monotherapy in relapsed/refractory multiple myeloma : A Japanese, multicenter, phase 1/2, safety and efficacy study. Cancer Sci 111:4526-4539,2020
2)de Weers M, Tai YT, van der Veer MS, et al : Daratumumab, a novel therapeutic human CD38 monoclonal antibody, induces killing of multiple myeloma and other hematological tumors. J Immunol 186:1840-1848,2011
3)日本輸血・細胞治療学会輸血検査技術講習委員会:多発性骨髄腫治療薬(抗CD38)による偽陽性反応への対処法(一部改訂版)(http://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-content/uploads/2017/11/158dcb8f65fabdf76c2cdde9d008daee.pdf)(2021年9月22日アクセス)
4)Hosokawa M, Kashiwagi H, Nakayama K, et al : Distinct effects of daratumumab on indirect and direct antiglobulin tests : a new method employing 0.01 mol/L dithiothreitol for negating the daratumumab interference with preserving K antigenicity (Osaka method). Transfusion 58:3003-3013,2018
5)日本輸血・細胞治療学会:「輸血関連情報カード」発行アプリ(http://yuketsu.jstmct.or.jp/wp-content/themes/jstmct/images/medical/file/reference/infocard_4.xlsm)(2021年7月20日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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