文献詳細
臨床医からの質問に答える
最近の脂肪肝評価であるCAPについて教えてください.
著者: 志田隆史1
所属機関: 1地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム
ページ範囲:P.1190 - P.1193
文献概要
近年,医学的にも社会的にも肥満,糖尿病,高血圧,脂質代謝異常などの増加を背景に,メタボリック症候群が注目されている.肝臓への脂肪の蓄積(脂肪肝)は,メタボリック症候群に高頻度に合併している.脂肪肝はアルコール性と非アルコール性の2つに大きく分類され,アルコールに由来しない脂肪肝注は非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)と総称される.
NAFLDのなかには肝硬変や肝癌に至ることがある進行性の一群があることが明らかにされ,これらは非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)と呼ばれ,比較的良好な経過をたどることの多い非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver:NAFL)とは区別して分類されている1〜3).NASHは肝細胞の5%以上に脂肪化を認め,肝細胞の風船様変性(ballooning)および小葉内炎症の有無により診断される.しかし,診断の基準に線維化の有無が考慮されていなかったことが予後を論ずるうえで問題となっている.現代人の約20%がNAFLDに罹患しており,そのなかの約10%,すなわち全人口の約2%がNASHと診断される進行性の肝疾患を有していると推計されている1).
参考文献
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