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文献詳細

雑誌文献

検査と技術50巻10号

2022年10月発行

臨床医からの質問に答える

最近の脂肪肝評価であるCAPについて教えてください.

著者: 志田隆史1

所属機関: 1地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所 自立促進と精神保健研究チーム

ページ範囲:P.1190 - P.1193

文献概要

脂肪肝の概要

 近年,医学的にも社会的にも肥満,糖尿病,高血圧,脂質代謝異常などの増加を背景に,メタボリック症候群が注目されている.肝臓への脂肪の蓄積(脂肪肝)は,メタボリック症候群に高頻度に合併している.脂肪肝はアルコール性と非アルコール性の2つに大きく分類され,アルコールに由来しない脂肪肝は非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)と総称される.

 NAFLDのなかには肝硬変や肝癌に至ることがある進行性の一群があることが明らかにされ,これらは非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis:NASH)と呼ばれ,比較的良好な経過をたどることの多い非アルコール性脂肪肝(nonalcoholic fatty liver:NAFL)とは区別して分類されている1〜3).NASHは肝細胞の5%以上に脂肪化を認め,肝細胞の風船様変性(ballooning)および小葉内炎症の有無により診断される.しかし,診断の基準に線維化の有無が考慮されていなかったことが予後を論ずるうえで問題となっている.現代人の約20%がNAFLDに罹患しており,そのなかの約10%,すなわち全人口の約2%がNASHと診断される進行性の肝疾患を有していると推計されている1)

参考文献

1)日本肝臓学会(編):NASH・NAFLDの診療ガイド 2021.文光堂,2021
2)日本消化器病学会(編):NAFLD/NASH診療ガイドライン 2014.南江堂,2014
3)Chalasani N, Younossi Z, Lavine JE, et al : The diagnosis and management of nonalcoholic fatty liver disease : Practice guidance from the American Association for the Study of Liver Diseases. Hepatology 67:328-357,2018
4)日本超音波医学会 用語・診断基準委員会:脂肪肝の超音波診断基準 2021(https://www.jsum.or.jp/committee/diagnostic/pdf/fatty_liver.pdf)(2022年8月9日アクセス)
5)インテグラル社ウェブサイト:フィブロスキャン(https://www.fibroscan.jp/)(2022年8月9日アクセス)
6)Karlas T, Petroff D, Sasso M, et al : Individual patient data meta-analysis of controlled attenuation parameter (CAP) technology for assessing steatosis. J Hepatol 66:1022-1030,2017
: A Comparative Study with the M Probe and Liver Biopsy. Dig Dis Sci 62:2569-2577,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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