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臨床検査のピットフォール
強乳びの検体を用いた電解質測定は要注意
著者: 河野正臣1
所属機関: 1医療法人社団誠馨会新東京病院臨床検査室
ページ範囲:P.1268 - P.1271
文献購入ページに移動食後一過性に血中に増加する脂肪成分〔主にカイロミクロン(chylomicron:CM)により運搬されるトリグリセリド(triglyceride:TG)〕は,リポ蛋白リパーゼ(lipoprotein lipase:LPL)により加水分解されて脂肪酸などに代謝される1).食後,時間を置かずに採血した場合,血液中に残った脂肪成分により血清(血漿)は乳白色を呈する.これを“乳び”という.健常人では経過時間とともに脂肪成分は分解されるため,食後,時間を置いて採血することで乳びを避けることができる.しかし,脂質異常症など血中脂肪成分の高濃度状態が持続している病態では,食後,時間を置いての採血にもかかわらず乳びを呈し,血中脂肪成分の濃度が極めて高い検体においてはミルク状の強乳びとなる.一般的な軽度の乳びは検査に影響を与えることは少ないが,強乳び検体になると検査にさまざまな影響を与える.本稿では,強乳び検体が電解質〔主にナトリウム(natrium:Na)〕測定に与える影響について述べる.
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