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文献詳細

雑誌文献

検査と技術50巻12号

2022年12月発行

文献概要

FOCUS

炎症性腸疾患のバイオマーカー

著者: 岡田光貴1

所属機関: 1京都橘大学健康科学部臨床検査学科

ページ範囲:P.1317 - P.1319

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はじめに

 潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とクローン病(Crohn's disease:CD)は炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)と総称され,いずれも厚生労働省により指定難病とされた疾患である.UCは直腸部から大腸全域にかけて連続的に炎症と潰瘍が生じる疾患である.一方,CDは大腸と小腸を中心として非連続的に炎症と潰瘍が生じる疾患である.IBDの主訴は腹痛や下痢,下血であるが,これら症状の寛解と再燃を繰り返す特徴がある.IBD自体は致命的でなく若年者を中心に発症が目立ち,患者数は右肩上がりである.

 指定難病のなかでも,登録患者数はUCが2番目,CDは4番目に位置付けられており1),各医療施設におけるIBD患者の受診はもはや珍しいものではない.IBDの病態把握には内視鏡検査が必須であるが,これは患者の身体的および精神的な負担が大きいため頻繁に行えるものではない.そこで,定期通院時に血液検査によりIBDの重症度を測ることが主となっている.一方で,近年,IBDの病変部に由来する蛋白質が生体試料中に複数発見され,新たな臨床検査項目として採用されている.本稿では,IBDに対する臨床検査と,その病態把握に有用なバイオマーカーについて概説する.

参考文献

1)難病情報センター:特定医療費(指定難病)受給者証所持者数(https://www.nanbyou.or.jp/entry/5354)(2022年8月8日アクセス)
2)厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」(久松班):令和3年度分担研究報告書 潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療指針(http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf)(2022年8月8日アクセス)
3)河本亜美,竹中健人,岡本隆一:炎症性腸疾患患者におけるロイシンリッチα2グリコプロテイン測定について.Mod Media 67:61-63,2021
4)石井葵:炎症性腸疾患の新規バイオマーカーLRG.生物試料分析 44:55-63,2021
5)千葉明子:便中カルプロテクチン検査の臨床における有用性について.生物試料分析 43:193-199,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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