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文献詳細

雑誌文献

検査と技術50巻12号

2022年12月発行

文献概要

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解答と解説

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ページ範囲:P.1320 - P.1320

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 近年の国家試験ではがん遺伝子,がん抑制遺伝子の問題が頻出されている.その理由として,がんゲノム医療および分子標的治療の進展,臨床検査への展開が著しいことが挙げられる.がんはさまざまな遺伝子異常の蓄積が原因で生じる.この遺伝子異常には遺伝子変異(点変異,挿入,欠失など)やコピー数の異常(増幅,欠失),融合遺伝子など,さまざまなものがある.体細胞の遺伝子異常が生じると,誤った遺伝子情報により異常な蛋白翻訳が行われ,細胞・組織は変化・異常をきたし,がんを発症する.がん化に直接かかわるドライバー遺伝子としてがん遺伝子とがん抑制遺伝子があり,これらを標的とした分子標的薬の開発が進んでいる.がん遺伝子はがん細胞増殖に促進的に,アクセルとして働き,遺伝子変異や増幅,融合遺伝子により活性化される.一方,がん抑制遺伝子はがんの増殖を抑制するブレーキの働きをしているが,変異や欠失などにより,このがん化ブレーキが不活性化することでがん化に関与する.

 ドライバー遺伝子の解析は,各がん種に対する分子標的薬の開発において重要である.がん遺伝子では比較的初期に確立されたABL1の融合遺伝子が慢性骨髄性白血病のBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬に,EGFR変異が肺がんなどのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬に,ERBB2(HER2)増幅が乳がんや胃がんの抗HER2薬として使われている.新規知見として,KRAS変異はがん種を問わず,KRAS阻害薬としての利用が期待されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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