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造血幹細胞移植検査—フローサイトメトリーにおけるCD34測定の注意点
著者: 澤田朝寛1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属浦安病院臨床検査医学科
ページ範囲:P.1362 - P.1366
文献購入ページに移動はじめに
造血幹細胞移植において造血幹細胞を正しく評価することは,とても重要です.末梢血幹細胞採取では,造血幹細胞の指標であるCD34陽性細胞数(CD34+)が患者体重1kg当たり2.0×106個以上含まれていれば移植細胞が生着するとされていて,日本骨髄バンクでも採取目標数に設定されています1).目標数に届かない場合は翌日も採取が必要となるため,CD34+測定は,患者やドナーにとって非常に重要であることは周知の事実です.
しかし,CD34+は少数しか存在しないため,その測定は困難が伴います.CD34+を高精度に検出する方法としてフローサイトメトリーで評価することが一般的です.造血幹細胞移植の成否を握る重要なCD34+測定の標準化を目的として「フローサイトメトリーによるCD34陽性細胞検出に関するガイドライン(JCCLS H3-A V2.0)」2)が作成されています.しかし,ガイドラインがあるにもかかわらず測定法や解析法によってCD34+が異なることが報告されています3).本稿では,CD34+を評価するときの注意点について解説します.
造血幹細胞移植において造血幹細胞を正しく評価することは,とても重要です.末梢血幹細胞採取では,造血幹細胞の指標であるCD34陽性細胞数(CD34+)が患者体重1kg当たり2.0×106個以上含まれていれば移植細胞が生着するとされていて,日本骨髄バンクでも採取目標数に設定されています1).目標数に届かない場合は翌日も採取が必要となるため,CD34+測定は,患者やドナーにとって非常に重要であることは周知の事実です.
しかし,CD34+は少数しか存在しないため,その測定は困難が伴います.CD34+を高精度に検出する方法としてフローサイトメトリーで評価することが一般的です.造血幹細胞移植の成否を握る重要なCD34+測定の標準化を目的として「フローサイトメトリーによるCD34陽性細胞検出に関するガイドライン(JCCLS H3-A V2.0)」2)が作成されています.しかし,ガイドラインがあるにもかかわらず測定法や解析法によってCD34+が異なることが報告されています3).本稿では,CD34+を評価するときの注意点について解説します.
参考文献
1)日本骨髄バンク:非血縁者間末梢血幹細胞採取マニュアル ホームページ版(2019.8.15改訂)(https://www.jmdp.or.jp/documents/file/04_medical/f-up03a-201908.pdf)(2022年6月27日アクセス)
2)日本臨床検査標準協議会血液検査標準化検討委員会フローサイトメトリーワーキンググループ:フローサイトメトリーによるCD34陽性細胞検出に関するガイドライン(JCCLS H3-A V2.0),2017(https://www.jccls.org/pdf/approval/Guidelines_for_CD34aV2.pdf)(2022年6月27日アクセス)
3)原口京子,奥山美樹,高橋典子,他:固定血球を用いたCD34陽性細胞数測定の外部評価に関する全国多施設共同研究.日輸血細胞治療会誌 63:126-134,2017
4)澤田朝寛:自動血球計数装置のデータを理解するための基礎知識.Med Technol 43:224-233,2015
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