icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術50巻12号

2022年12月発行

文献概要

連載 帰ってきた やなさん。・35

natureデビュー!

著者: 柳田絵美衣12

所属機関: 1慶應義塾大学病院臨床検査科ゲノム検査室 2慶應義塾大学医学部腫瘍センターゲノム医療ユニット

ページ範囲:P.1377 - P.1377

文献購入ページに移動
 “自家製抗体を用いて,ハムスターの切片を染色せよ!”.超高難易度ミッションが柳田に課せられた! 「これこれ.僕が作った抗体なんだ.DOCK2抗体!」とユニットのボスが持ってきた怪しげなマイクロチューブ.自家製抗体……しかもボスが26年前に作ったという得体の知れない抗体.パラフィルムで巻かれたマイクロチューブを見て柳田は思い出す…….臨床検査技師になったばかりの頃,とある大学病院の先生から「僕が作ったこの自家製抗体で,何が染まるか調べてほしい」という依頼を受けたことを(自分で作った抗体が何に陽性になるかわからないなんて,どういうつもりで作ったんだよ!).その依頼を受けたときは,ありとあらゆる正常組織&腫瘍組織切片を染めまくった.辛かったんだよ……トラウマなんだわ(遠い目).

 そして,再来……自家製抗体っ.怖ぇ〜! 染まるのか? と思いつつ,ボスに「何が対象なんですか? 症例は何がよろしいですか?」と聞くと,まさかの言葉,「ヒトとハムスターね.COVID-19感染の」.は? ハムスター? COVID-19? 今までラットやイヌやサルやブタやニワトリは染めたことがあるが,ハムスターとな? しかもCOVID-19?…….あかん! 自家製抗体というだけでも難易度が高いのにハムスター.しかも感染症! 超高難易度だわ! 「COVID-19の研究をしている先生がDOCK2との関連を発見してね.抗体を探していたそうなんだ.そこで,僕にたどり着いたってわけ.そして,僕のもとには染色が得意な柳田さんがいたってわけ.奇跡的だよね」.……そうですね,柳田にとっては恐ろしすぎる奇跡が重なったということですね.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?