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増大号 見て学ぶ 一般検査学アトラス—外観検査から顕微鏡検査まで 穿刺液検査 胸水・腹水
胸水・腹水の外観検査
著者: 森藤哲史1 安井寛2
所属機関: 1洛和会音羽病院臨床検査部 2洛和会音羽病院病理診断科
ページ範囲:P.293 - P.295
文献購入ページに移動生理的な状態では,胸腔に10〜15mLの胸水,腹腔に20〜100mLの腹水が認められ,臓側漿膜と壁側漿膜の間の潤滑液としての役割を担っている.胸水・腹水は種々の疾患に伴って貯留し,その性状によって漏出液と滲出液に分けられる.漏出液は循環障害によるうっ血や浮腫に起因し,低蛋白血症,肝硬変,心不全などによって貯留する.また,滲出液は細胞成分,蛋白成分を多く含み,炎症の滲出機転によって貯留し,結核や肺梗塞,癌性胸・腹膜炎などの疾患で出現する.
胸水・腹水の検査はさまざまな目的で実施されるが,それによって得られる情報は患者の病態を正確に把握し,診療方針を決定するうえで非常に重要である.胸水・腹水の詳細な検索は,細胞分類などの各種検査によって行われるが,いずれの検査でも最初の外観観察は不可欠である.検査を適切に行うためには,検体の性状を把握し,それに合わせた適切な処理によって検査を進める必要がある.
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