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文献詳細

雑誌文献

検査と技術50巻3号

2022年03月発行

文献概要

増大号 見て学ぶ 一般検査学アトラス—外観検査から顕微鏡検査まで 穿刺液検査 関節液

関節液の外観検査

著者: 山下美香1

所属機関: 1広島赤十字・原爆病院検査部

ページ範囲:P.336 - P.339

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概要

 関節は外側から軟骨下骨組織,関節軟骨,靱帯を含む軟部組織,関節包とその内面を覆う滑膜よりなる.滑膜は2層からなり,内膜の滑膜細胞と外膜の線維膜で形成され,生理機能としては,①関節液(滑液)の産生,②関節液との物質交換を行う.関節包を満たす関節液は滑膜内脈絡叢から濾過された血漿成分とB型滑膜細胞が産出したヒアルロン酸−蛋白質複合体が合わさった液体で,正常な関節液は無色〜淡い黄色で粘稠性のある弱アルカリの液体である(表1,図1)1)

 関節液の主な機能は,①関節表面にpH変動のない少ない水分環境の供給,②関節内の栄養供給と排泄,③潤滑油としての機能である.その量は0.13〜3.5mL,平均1.1mLとされているが2),炎症などの病的状態では100mLを超えることもあり,色調も黄色〜黄褐色と濃くなり濁度が増してくる.粘稠性は炎症が起こるとリソゾーム酵素によるヒアルロン酸の分解や,関節液の増加によるヒアルロン酸の希釈で低下すると考えられている.関節液検査では白血球数により正常,非炎症性,炎症性,化膿性に分類されるが(表1,図2)1),あくまでも“目安”であり絶対的なものではない.

参考文献

1)横山貴,谷口敦夫:関節液検査.一般社団法人日本臨床衛生検査技師会(監):一般検査技術教本.日本臨床衛生検査技師会,pp132-140,2012
2)池内宏:関節液.臨検 19:1482-1483,1975
●宇月美和,澤井高志,徳永勢二:関節病変の病理.臨リウマチ 18:103-113,2006
●横川直人:結晶性関節炎の迅速診断—医師による関節液の鏡検.高尿酸血症と痛風 26:25-31,2018
●山下美香:関節液検査の臨床的意義とポイント.Med Technol 42:814-821,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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