文献詳細
文献概要
病気のはなし
乳児下痢症
著者: 高梨さやか1 多屋馨子1
所属機関: 1国立感染症研究所感染症疫学センター
ページ範囲:P.488 - P.494
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●乳児下痢症のほとんどは,2週間以内に症状が軽快する急性下痢症であり,ウイルス感染に伴うものが多い.
●ロタウイルスワクチンの導入により,下痢症の疫学や,広く普及している迅速診断キットの結果の解釈に対する影響に注目が集まっている.
●治療は脱水の補正がメインであるが,痙攣,脳症などの神経学的合併症に留意する必要がある.
●予後は基本的に良好であるが,慢性下痢症の一部では,中心静脈栄養を要する場合もある.
●乳児下痢症のほとんどは,2週間以内に症状が軽快する急性下痢症であり,ウイルス感染に伴うものが多い.
●ロタウイルスワクチンの導入により,下痢症の疫学や,広く普及している迅速診断キットの結果の解釈に対する影響に注目が集まっている.
●治療は脱水の補正がメインであるが,痙攣,脳症などの神経学的合併症に留意する必要がある.
●予後は基本的に良好であるが,慢性下痢症の一部では,中心静脈栄養を要する場合もある.
参考文献
1)宇佐美雅章,竹内一朗,新井勝大:急性下痢症(新生児,乳児).別冊日本臨牀 消化管症候群(第3版) IV—その他の消化管疾患を含めて.日本臨牀社,pp395-399,2020
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