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FOCUS
臨床化学検査の国際標準化—アルカリホスファターゼ(ALP)活性測定における国際標準化から考える
著者: 後藤好恵1
所属機関: 1東北大学病院診療技術部検査部門
ページ範囲:P.504 - P.507
文献概要
日本における臨床化学検査は,全国どの医療機関を受診しても同じ検査値が提供される理想的な状況に近づいており,検査の標準化は高い水準で達成されている.これにより,日本臨床検査標準協議会(Japanese Committee for Clinical Laboratory Standards:JCCLS)の共用基準範囲1)を活用することも可能となるため,基準範囲の標準化も達成間近である.こうした環境を整えることができたのは,これまで検査に携わってきた多くの方々の尽力によるものであり,検査の標準化によって医療現場に大きく貢献することができたと考えている.しかしながら,国際的な視点でみると日本の検査結果には,海外ではそのまま利用できない項目があるのも事実であり,国内標準化の次の段階として,国際標準化への取り組みが求められている.
国際標準化が進んでいる,濃度を算出する検査項目と異なり,酵素項目については酵素自体の蛋白濃度ではなく,活性を測定している性質上,試薬処方の違いで測定値に大きな差が生じる場合がある.こうした要因の1つにアイソザイムに対する反応性の違いが挙げられる.以下ではアルカリホスファターゼ(alkaline phosphatase:ALP)活性測定での国際標準化について説明していきたい.
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