文献詳細
臨床検査のピットフォール
微生物検査において薬剤感受性試験に影響を与える因子
著者: 島田直樹1
所属機関: 1がん・感染症センター都立駒込病院臨床検査科細菌検査室
ページ範囲:P.548 - P.551
文献概要
感染症診療において適切な抗菌薬選択は欠かせない.その指標となる薬剤感受性試験は必須の検査となる.微量液体希釈法はin vitro活性を定量的に測定することができ,感受性試験の基本となる方法である.微量液体希釈法にて最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration:MIC)が測定され,ほとんどの施設においてCLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)のブレイクポイントをもとに感性,中間,耐性の判定がされる.MICは単純に微生物と抗菌薬の関係だけで得られるわけではなく,抗菌薬が作用する際にはさまざまな要素が関係している.
薬剤感受性試験を実施する際は,さまざまな濃度の抗菌薬が添加されたマイクロプレートに培地を加え,調整された懸濁液を接種する.適切な温度と適切な時間間隔でインキュベートした後,発育が読み取られ,MICが決定される.MICは測定条件に大きく影響され,微生物側の要因だけで決定されるものではない.CLSIでは薬剤感受性試験の測定方法や使用する培地などが定められている.今回は,CLSI-M7に記載されている内容をもとに解説を行う.
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