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IL-6の測定意義
著者: 綾部麻香1
所属機関: 1慶應義塾大学病院臨床検査科
ページ範囲:P.710 - P.712
文献購入ページに移動インターロイキン6(interleukin-6:IL-6)はサイトカインの一種である.サイトカインにはインターロイキン(interleukin:IL),ケモカイン,インターフェロン(interferon:IFN),腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor:TNF)などがあり,身体に侵入した病原体などの異物に応答して産生され,免疫細胞を刺激・動員,増殖させ,侵入した異物を排除する役割を担っている.
IL-6は,生体内においてリンパ球(T細胞・B細胞)やマクロファージなど,種々の細胞から分泌され,炎症の重要な調節因子として機能する炎症誘発性サイトカインである.したがって,IL-6の過剰な産生・発現は,免疫系の調整異常,血液成分の異常,癌細胞の増殖や転移の促進,骨や軟骨の破壊,過剰な炎症反応の誘導などを意味し,感染症,外傷および自己免疫性疾患などでIL-6の値が上昇することが知られている.IL-6の測定は,わが国において2021年1月より全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)の重症度判定に有用として保険適用となった.
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