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文献詳細

雑誌文献

検査と技術50巻7号

2022年07月発行

文献概要

技術講座 生化学

血中タクロリムス濃度

著者: 土筆智晶1

所属機関: 1北里大学病院臨床検査部

ページ範囲:P.716 - P.720

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Point

●血中タクロリムス測定法は免疫学的測定法が主体であり,迅速性や簡便性に優れているが,試薬で用いられる抗体の特異性や交差反応性により方法間差が認められる.

●タクロリムスは赤血球移行性が高いため,血中濃度測定は全血を試料として前処理(除蛋白)が必要である.

●移植領域における維持期では,タクロリムスは低用量で使用されることがあるため,測定法には低濃度における精確性が求められている.

●全血を試料としているため,血漿成分の影響により測定系に非特異的な反応を引き起こし,結果として測定値が偽高値となることがある.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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