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微生物検査領域における人工知能導入の可能性
著者: 平田耕一1
所属機関: 1九州工業大学大学院情報工学研究院
ページ範囲:P.48 - P.50
文献購入ページに移動はじめに
最近の人工知能(artificial intelligence:AI)ブームは,深層学習(deep learning)に牽引されているといってよい.この深層学習は,脳の神経回路網を模したニューラルネットワークを利用した機械学習の方式である.ニューラルネットワークそのものは1930〜1940年代に提唱され,1970年代には文字認識などに利用されはじめた.その後,2006年に深層学習の嚆矢としての多層ニューラルネットワークが実現され,さらに畳み込みニューラルネットワーク(convolution neural network:CNN)により,2012年に画像認識のエラー率を17%とこれまでの手法よりも10%以上も向上させ,2014年には5%程度まで改善した.
そのような深層学習が流行した理由に,プログラム言語Pythonの開発とPythonに直結するオープンソースとしてのCNNの実現が挙げられる.オープンソースであることから,Pythonにより深層学習のさまざまなCNNを簡単に扱うことができる.さらに,Googleが提供しているGoogle Colaboratoryでは,ブラウザ上でPythonを記述・実行でき,深層学習で必要なGPU(graphics processing unit)にも無料でアクセスできるため,簡単に深層学習を実行することができる.このように,深層学習には,機械学習の研究者に限らず,誰でも比較的容易に利用できる環境が整っている.
そのような深層学習の微生物検査への導入として,本稿では,グラム(Gram)染色を取り上げる.そして,深層学習に必要不可欠となるアノテーションや学習結果の評価方法について説明した後,深層学習のグラム染色画像への適用例について述べる.なお,深層学習の詳細については,例えば文献1を参照していただきたい.
最近の人工知能(artificial intelligence:AI)ブームは,深層学習(deep learning)に牽引されているといってよい.この深層学習は,脳の神経回路網を模したニューラルネットワークを利用した機械学習の方式である.ニューラルネットワークそのものは1930〜1940年代に提唱され,1970年代には文字認識などに利用されはじめた.その後,2006年に深層学習の嚆矢としての多層ニューラルネットワークが実現され,さらに畳み込みニューラルネットワーク(convolution neural network:CNN)により,2012年に画像認識のエラー率を17%とこれまでの手法よりも10%以上も向上させ,2014年には5%程度まで改善した.
そのような深層学習が流行した理由に,プログラム言語Pythonの開発とPythonに直結するオープンソースとしてのCNNの実現が挙げられる.オープンソースであることから,Pythonにより深層学習のさまざまなCNNを簡単に扱うことができる.さらに,Googleが提供しているGoogle Colaboratoryでは,ブラウザ上でPythonを記述・実行でき,深層学習で必要なGPU(graphics processing unit)にも無料でアクセスできるため,簡単に深層学習を実行することができる.このように,深層学習には,機械学習の研究者に限らず,誰でも比較的容易に利用できる環境が整っている.
そのような深層学習の微生物検査への導入として,本稿では,グラム(Gram)染色を取り上げる.そして,深層学習に必要不可欠となるアノテーションや学習結果の評価方法について説明した後,深層学習のグラム染色画像への適用例について述べる.なお,深層学習の詳細については,例えば文献1を参照していただきたい.
参考文献
1)岡野原大輔:ディープラーニングを支える技術—「正解」を導くメカニズム[技術基礎].技術評論社,2022
2)吉原教平:グラム染色画像からのキャンピロバクターと白血球貪食の分類と検出.九州工業大学情報工学府先端情報工学専攻修士論文,2022
3)Kawano I, Kurumida E, Terada S, et al : Classifying Gram positive cocci and Gram negative bacilli in Gram stained smear images. Proc 2022 IIAI-AAI,55-60,2022
4)Sugimoto H, Hirata K : Object detection as Gram positive cocci in Gram stained smear images. Proc 2022 IIAI-AAI,134-137,2022
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