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凝固検査用検体取り扱い標準化
著者: 由木洋一1 松田将門2
所属機関: 1京都府立医科大学附属病院臨床検査部 2福島県立医科大学保健科学部臨床検査学科
ページ範囲:P.56 - P.59
文献購入ページに移動凝固時間検査では検査前のプロセス,すなわち検体の取り扱いが検査結果に大きく影響する.凝固時間検査とは,プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)や活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)に代表される,検体と試薬を混合してフィブリン析出時間を測定する検査をいう1).検体の取り扱いとは,例えば採血手技や検体の遠心条件・保存条件などの工程を指し,これは正確で精度の高い検査結果報告に重要であると教科書にも書いてある.しかし,本邦では,その標準化はこれまで行われてこなかった.そこで,日本検査血液学会では標準化委員会内に「凝固検査用サンプル取扱い標準化ワーキンググループ」(以下,WG)を組織し,まず現状を把握すべく2013年に同学会評議員を対象にアンケート調査を実施した.その結果,抗凝固剤(クエン酸ナトリウム)の濃度,遠心条件やその後の保存条件などの統一性が不徹底であるとわかった.この結果を踏まえ,WGでは米国の臨床・検査標準協会および英国の血液標準化委員会のガイドラインを参考に議論を重ね,2016年に日本検査血液学会誌に「凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス」(以下,コンセンサス)を発表した1).その概要を表1,2に示す.
本稿では,コンセンサス発表後の検体取り扱いの現状,および今後の課題について概説する.
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