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文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻1号

2023年01月発行

文献概要

FOCUS

凝固検査用検体取り扱い標準化

著者: 由木洋一1 松田将門2

所属機関: 1京都府立医科大学附属病院臨床検査部 2福島県立医科大学保健科学部臨床検査学科

ページ範囲:P.56 - P.59

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はじめに

 凝固時間検査では検査前のプロセス,すなわち検体の取り扱いが検査結果に大きく影響する.凝固時間検査とは,プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)や活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)に代表される,検体と試薬を混合してフィブリン析出時間を測定する検査をいう1).検体の取り扱いとは,例えば採血手技や検体の遠心条件・保存条件などの工程を指し,これは正確で精度の高い検査結果報告に重要であると教科書にも書いてある.しかし,本邦では,その標準化はこれまで行われてこなかった.そこで,日本検査血液学会では標準化委員会内に「凝固検査用サンプル取扱い標準化ワーキンググループ」(以下,WG)を組織し,まず現状を把握すべく2013年に同学会評議員を対象にアンケート調査を実施した.その結果,抗凝固剤(クエン酸ナトリウム)の濃度,遠心条件やその後の保存条件などの統一性が不徹底であるとわかった.この結果を踏まえ,WGでは米国の臨床・検査標準協会および英国の血液標準化委員会のガイドラインを参考に議論を重ね,2016年に日本検査血液学会誌に「凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス」(以下,コンセンサス)を発表した1).その概要を表1,2に示す.

 本稿では,コンセンサス発表後の検体取り扱いの現状,および今後の課題について概説する.

参考文献

1)家子正裕,小宮山豊,山崎哲,他:凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス.日検血会誌 17:149-157,2016
2)又賀史織,河野浩善,井上礼子,他:広島県における凝固検査検体取り扱いに関するアンケート調査報告.医学検査 69:389-396,2020
3)松田将門,山田隆:凝固検査検体取扱いの現状の分析:新潟県におけるアンケート調査.日検血会誌 21:170-181,2020
4)桝谷亮太,松田将門,小宮山豊,他:関西圏を中心とした凝固検査検体取扱いに関するアンケート調査.日検血会誌 23:137,2022
5)松田将門,小宮山豊,鈴木健史,他:血液凝固線溶検査における検体の遠心条件および保存条件の影響.日検血会誌 21:136-144,2020
6)松田将門:検体取扱い手順が日常診療に及ぼす影響.医療と検機器・試薬 44:9-12,2021
7)松田将門,小宮山豊,鈴木健史,他:凝固検査用検体の高速遠心処理は血漿中のプロコアグラント活性を高め,凝固時間を短縮させる.第68回日本臨床検査医学会学術集会 69:131,2021
8)家子正裕,小宮山豊:凝固検査検体取り扱い標準化に関する2018年度の提言:外注検査による凝固検査の標準化.日検血会誌 20:152-159,2019
9)Ieko M, Komiyama Y, Yamazaki S, et al : Expert consensus regarding standardization of sample preparation for clotting time assays. Int J Hematol 112:614-620,2020

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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