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尿中のグルコース測定におけるhydroxyurea(HU)による偽高値の機序
著者: 小林巧1
所属機関: 1さいたま市立病院中央検査科
ページ範囲:P.1216 - P.1218
文献購入ページに移動hydroxyurea(HU,商品名ハイドレア)は慢性骨髄性白血病や本態性血小板血症,真性多血症などの血液疾患に用いられる薬剤である.通常成人1日500〜2,000mgを1〜3回に分けて経口投与する.症状が軽減またはほぼ消失し,臨床的にコントロールされた状態の維持には,1日500〜1,000mgを1〜2回に分けて経口投与する.
HUの体内動態は,HUを1,000mg経口投与した場合,血中濃度は投与後1〜3時間後に20〜30μg/mLのピークに達する.尿中への排泄は,HUを26または28mg/kg経口投与した場合,投与後24時間までに投与量の53または70%である1).R. Neil Daltonら2)は,尿中に排泄されるHUは,HU投与後2〜4時間でピークとなり,12時間以降は出現しなくなることを報告している.
さいたま市立病院(以下,当院)では,血中および尿中のグルコースを定量するためにグルコースオキシダーゼ(glucose oxidase:GOD)電極法(アダムスグルコースGA-1172,アークレイ社)を用いて測定を行っている.尿中のグルコースを測定する際,まれに反応異常のエラー“****”で測定不可となる検体があった.それらの共通点として,HU投与患者の尿検体であることがわかった.
今回,尿中のグルコース測定におけるHUによる偽高値の例と,偽高値の機序および対策について解説する.
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