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臨床医からの質問に答える
関節液検体は何日ぐらい保存可能でしょうか?
著者: 片山裕大1
所属機関: 1公立那賀病院臨床検査科
ページ範囲:P.1304 - P.1307
文献購入ページに移動関節内や関節周辺に沈着した結晶によって引き起こされる急性関節炎は結晶誘発性関節炎と総称され,代表的なものとして尿酸ナトリウム(monosodium urate:MSU)結晶による痛風,ピロリン酸カルシウム(calcium pyrophosphate dihydrate:CPPD)結晶による偽痛風があります.これらの結晶は,鋭敏色偏光顕微鏡装置を用いて複屈折性を確認することで容易に同定することができます.いずれも臨床に直接報告して確定できる疾患であるため,非常に意義の高い検査であるといえます1,2).
さて,今回のテーマである“関節液検体の保存”についてですが,結晶鏡検(顕微鏡検査)を目的とした場合,保存は困難であるとされる記述が多いように思われます1-3).検体保存による時間経過で,結晶が崩壊または複屈折性が弱まる,他の結晶成分が析出する,検体自体が凝集するなどが理由として挙げられます1).関節液検体の保存を行っている施設もあるかと思いますが,その保存性に関しては曖昧になっていることが多いのではないでしょうか.
本稿では文献の記載や公立那賀病院(以下,当院)検査室での検討結果を踏まえ,結晶鏡検を目的とした関節液検体の保存が可能であるかを解説していきます.
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