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感染対策に必要な消毒薬の知識
著者: 戸高玲子1 芳賀慧1 片山和彦1
所属機関: 1北里大学大村智記念研究所ウイルス感染制御学
ページ範囲:P.130 - P.132
文献購入ページに移動病原体による感染症の予防または拡大を防ぐためには,手指の消毒や生活環境中で人が触れるものの消毒は不可欠である.さらに医療機関においては,院内感染防止のために診療や検査に使用した医療機器・器具類の消毒,ならびに院内環境の消毒などが極めて重要であると考えられる.病原体には細菌やウイルス,真菌などが挙げられるが,本稿では特にウイルス感染症の予防のために役立つ効果的なウイルス消毒法について記述する.
現在,ウイルス感染症の拡大防止のための消毒薬として多く用いられているのは,エタノールと次亜塩素酸ナトリウム製剤である.ウイルスのなかで,エンベロープといわれる脂質二重膜からなる外膜に包まれた構造を持つインフルエンザウイルスやC型肝炎ウイルスなどには,エタノールやイソプロピルアルコールなど脱脂作用を持つ成分を主成分とした消毒剤が効果的である.一方で,ヒトに感染するノロウイルス(ヒトノロウイルス)やアデノウイルス,ロタウイルスといったエンベロープを持たないウイルスなどの殺滅には次亜塩素酸ナトリウム水溶液が有効であるが,どちらの消毒薬も,適切な濃度で使用しなければその効果が不十分な場合があり注意が必要である.本稿ではそれぞれの消毒効果について述べるとともに,市販の洗剤などに含まれる界面活性剤のウイルス不活化効果についても記述する.
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