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文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻3号

2023年03月発行

文献概要

増大号 症例から学ぶ 疾患と検査値の推移 2章 血液・造血器疾患

血栓性血小板減少性紫斑病

著者: 森下英理子12 林朋恵3

所属機関: 1金沢大学大学院医薬保健学総合研究科病態検査学 2金沢大学附属病院血液内科 3金沢市立病院血液内科

ページ範囲:P.259 - P.265

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Point

●原因不明の血小板減少と微小血管性溶血性貧血(MAHA)を認めた場合,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を疑うことが重要である.ADAMTS13活性を測定し,10%未満に著減していればTTPと診断し,抗ADAMTS13自己抗体が陽性であれば後天性TTP,陰性であればUSSを疑う.

●従来はMAHA,血小板減少,腎機能障害,発熱,動揺性精神神経症状の5徴候を示すものをTTPと診断していたが,現在は5徴候全てそろわなくてもTTPを疑う.5徴候のなかでも,血小板減少と溶血性貧血の2徴候が診断に重要である.

●MAHAの検査所見としては,ヘモグロビン(Hb)12g/dL未満の貧血,破砕赤血球の出現,間接ビリルビン,LD,網状赤血球の上昇,ハプトグロビン(Hp)の著減,直接クームス(Coombs)試験陰性を認める.

参考文献

1)藤村吉博,松本雅則,石西綾美,他:血栓性血小板減少性紫斑病.臨血 55:93-104,2014
2)厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患政策研究事業)「血液凝固異常症等に関する研究」班 TTPグループ:血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)診療ガイド2020.(https://www.naramed-u.ac.jp/~trans/news/pdf/ttp.pdf)(2022年12月2日アクセス)
3)Crawley JT, Scully MA : Thrombotic thrombocytopenic purpura : basic pathophysiology and therapeutic strategies. Hematology Am Soc Hematol Educ Program 2013:292-299,2013
4)小亀浩市:TTPの分子診断.日血栓止血会誌 25:689-696,2014
5)小亀浩市,樋口(江浦)由佳:Upshaw-Schulman症候群のADAMTS13遺伝子解析.細胞 46:61-63,2014
6)吉田瑶子,松本雅則:補体関連因子の異常によるaHUS.臨血 56:185-193,2015
7)Kato H, Nangaku M, Hataya H, et al : Clinical guides for atypical hemolytic uremic syndrome in Japan. Clin Exp Nephrol 20:536-543,2016

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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