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文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻3号

2023年03月発行

文献概要

増大号 症例から学ぶ 疾患と検査値の推移 3章 腎・泌尿器・生殖器疾患

慢性腎不全

著者: 木村秀樹1

所属機関: 1福井大学医学部附属病院検査部・腎臓内科

ページ範囲:P.277 - P.283

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Point

●現行の慢性腎不全は,推算糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2未満の状態を示し,糖尿病性腎臓病,慢性腎炎,腎硬化症が主因である.

●eGFR<60の病態は,国民の約14.5%に認められ,高齢者になると増加し70歳台で約30%,80歳以上では約40%と著明に増加する.

●eGFRが30〜59の病態では,高血圧の合併,血清クレアチニン(Cr),UN値が上昇し,eGFRが15〜29の病態では,易疲労感,腎性貧血,夜間尿と多尿,血清P値上昇,Ca値低下を認める.eGFR<15の病態では,吐気,食欲低下,息切れ,K値の上昇,代謝性アシドーシスが合併する.

●慢性腎不全の進行とともに,超音波所見では腎皮質の菲薄化とエコー輝度の増強,腎表面の凹凸不整の増強,腎サイズの縮小を呈する.

●慢性腎不全の進行過程では,1/Cr,eGFRが直線的に低下していく.UN/Cr>10〜20の病態では脱水,蛋白摂取量の増加を,UN/Cr<10の病態では蛋白摂取量の低下を示す.

参考文献

1)日本腎臓学会(編):エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018.東京医学社,2018
2)日本腎臓学会(編):CKD診療ガイド2012.東京医学社,2012
3)医療情報科学研究所(編):病気がみえる 第8巻 腎・泌尿器.メディックメディア,2012
4)日本透析医学会統計調査委員会:わが国の慢性透析療法の現況(2020年12月31日現在)(http://docs.jsdt.or.jp/overview/file/2020/pdf/0.3pdf)
5)秋葉隆,川嶋朗:慢性腎不全.下条文武(監),内山聖,富野康日己,今井裕一(編):専門医のための腎臓病学,第2版.医学書院,pp209-219,2009
6)Shemesh O, Golbetz H, Kriss JP, et al : Limitations of creatinine as a filtration marker in glomerulopathic patients. Kidney Int 28:830-838,1985
7)日本腎臓学会(編):腎機能(GFR)・尿蛋白測定の手引.東京医学社,2009
8)糖尿病性腎症合同委員会:糖尿病性腎症病期分類2014の策定(糖尿病性腎症病期分類改訂)について.日腎会誌 56:547-552,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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