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文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻3号

2023年03月発行

文献概要

増大号 症例から学ぶ 疾患と検査値の推移 8章 感染症

ヒト免疫不全ウイルス感染症,後天性免疫不全症候群

著者: 戸田祐太1

所属機関: 1日本赤十字社医療センター感染症科

ページ範囲:P.406 - P.414

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Point

●HIV感染はヒト免疫不全ウイルス(HIV)というウイルスへの持続感染を表す用語で,HIV感染者のうち免疫低下のために,後天性免疫不全症候群(AIDS)指標疾患(23種類の日和見感染症)を合併した患者をAIDS発症患者と呼ぶ.

●日本では,HIV感染者およびAIDS患者の新規報告数は,2007年頃をピークに横ばい〜やや減少傾向となっている.感染経路は,当初は血液製剤による感染が主体であったが,1990年以降は性感染症,特に同性間の性的接触による感染が拡大し,いまでは半数以上を占めている.

●HIV感染症の臨床病期は,急性感染期・無症候期・AIDS発症期に大別される.急性感染期または無症候期に診断され,早期に治療が開始されれば,高い免疫力を維持できるため,無症状のままの生活を継続し,非感染者と同等の余命が期待できる.

●HIV診療に重要な検査数値として,CD4陽性リンパ球(CD4)数とHIV RNA量(ウイルス量)があり,CD4数が免疫機能の指標として重要である一方,ウイルス量は治療薬の効果判定に重要である.

参考文献

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3)厚生労働省エイズ動向委員会:令和3(2021)年エイズ発生動向年報.エイズ予防情報ネットAPI-Net(https://api-net.jfap.or.jp/status/japan/data/2021/nenpo/r03gaiyo.pdf)(2023年1月5日アクセス)
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12)Bennett JE, Dolin R, Blaser MJ : Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases, 8th ed. Elsevier,pp1503-1525,2015
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15)Cohen MS, Shaw GM, McMichael AJ, et al : Acute HIV-1 Infection. N Engl J Med 364:1943-1954,2011
16)国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター:CD4数と考えられる疾患.HIV感染症とその合併症 診断と治療ハンドブック.2022年9月29日(https://www.acc.ncgm.go.jp/medics/treatment/handbook/part1/2-02.html)(2023年1月5日)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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