文献詳細
文献概要
技術講座 遺伝子・染色体
マイクロアレイ染色体検査
著者: 涌井敬子1
所属機関: 1信州大学医学部遺伝医学教室
ページ範囲:P.440 - P.449
文献購入ページに移動Point
●マイクロアレイ染色体検査は,分染法では検出が困難な微細な染色体(ゲノム)の不均衡を検出することを目的に開発された,網羅的遺伝学的検査の1つである.
●CGH+SNPアレイは,CNV検出用のCGHプローブと,既知のSNP検出用のSNPプローブを搭載しており,制限酵素処理とCGH解析により,検査対象のCNVとcnLOHを同時に検出する.
●プローブは,ゲノム全域に,疾患の原因となるターゲット領域には高密度に配置されているが,繰り返し配列領域には配置されていない.
●均衡型染色体構造異常は検出できない.CNVに伴う染色体再構成や,男性における偽常染色体領域のCNVがXかYかを特定するためには,分裂像FISH法による追加解析が必要である.
●検出される各CNVと各cnLOHは,病的,非病的だけでなく現時点で臨床的意義が不確定なものも含まれるため,それぞれの臨床的影響については,さまざまなデータベースや文献などを検討し解釈する必要がある.
●マイクロアレイ染色体検査は,分染法では検出が困難な微細な染色体(ゲノム)の不均衡を検出することを目的に開発された,網羅的遺伝学的検査の1つである.
●CGH+SNPアレイは,CNV検出用のCGHプローブと,既知のSNP検出用のSNPプローブを搭載しており,制限酵素処理とCGH解析により,検査対象のCNVとcnLOHを同時に検出する.
●プローブは,ゲノム全域に,疾患の原因となるターゲット領域には高密度に配置されているが,繰り返し配列領域には配置されていない.
●均衡型染色体構造異常は検出できない.CNVに伴う染色体再構成や,男性における偽常染色体領域のCNVがXかYかを特定するためには,分裂像FISH法による追加解析が必要である.
●検出される各CNVと各cnLOHは,病的,非病的だけでなく現時点で臨床的意義が不確定なものも含まれるため,それぞれの臨床的影響については,さまざまなデータベースや文献などを検討し解釈する必要がある.
参考文献
1)Miller DT, Adam MP, Aradhya S, et al : Consensus statement : chromosomal microarray is a first-tier clinical diagnostic test for individuals with developmental disabilities or congenital anomalies. Am J Hum Genet 86:749-764,2010
2)独立行政法人医薬品医療機器総合機構,体外診断用医薬品:染色体構造変異解析キット GenetiSure Dx Postnatal Assay「アジレント」(https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/ivdDetail/GeneralList/30200EZX00048000_A_01)
3)日本小児遺伝学会,日本先天異常学会,日本人類遺伝学会,他:診療において実施するマイクロアレイ染色体検査のガイダンス(2020年3月30日)(https://plaza.umin.ac.jp/p-genet/downloads/20200330_microarray_guidance.pdf)(https://plaza.umin.ac.jp/p-genet/downloads/20200330_microarray_guidance_annotations.pdf)
4)日本医学会:医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン(2011年2月 2022年3月改定)(https://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis_2022.pdf)(https://jams.med.or.jp/guideline/genetics-diagnosis_qa_2022.html)
5)UCSC(UCSC Genome Browser)(https://genome.ucsc.edu/)
6)DECIPHER(DatabasE of genomiC varIation and Phenotype in Humans using Ensembl Resources)(https://www.deciphergenomics.org/)
7)ClinGen(Clinical Genome Resource)(https://clinicalgenome.org/)
8)OMIM(Online Mendelian Inheritance in Man)(https://www.omim.org/)
9)Unique(Understanding Rare Chromosome and Gene Disorders)(https://rarechromo.org)
10)DGV(Database of Genomic Variants)(http://dgv.tcag.ca/dgv/app/home)
11)gnomAD(Genome Aggregation Database)(https://gnomad.broadinstitute.org)
12)PubMed(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/)
13)Nussbaum RL,McInnes RR,Willard HF(著),福嶋義光(監訳):トンプソン&トンプソン遺伝医学 第2版.メディカル・サイエンス・インターナショナル,2017
掲載誌情報