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文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻5号

2023年05月発行

文献概要

FOCUS

福島県「県民健康調査」甲状腺検査における甲状腺超音波検査の役割

著者: 志村浩己1

所属機関: 1福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター

ページ範囲:P.570 - P.572

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はじめに

 2011年3月11日に発生した東日本大震災と引き続いて発生した津波は,東京電力福島第一原子力発電所事故を引き起こし,その結果,福島県を中心に放射性物質が飛散した.1986年のチョルノービリ原子力発電所事故では,放射性ヨウ素を含む食品の摂取による甲状腺の内部被曝により,事故当時小児だった住民に甲状腺癌が誘発されたことから,放射線被曝による健康被害が憂慮された.そのため,福島県と福島県立医科大学(以下,当学)は県民健康調査を開始し1),その詳細調査の1つとして,2011年10月から甲状腺検査が開始された2)

 本調査は,震災時点において福島県に在住していた18歳以下の全県民を対象として,20歳を超えるまでは2年ごと,それ以降は5年ごとに実施されている.本検査における超音波検査においては,多くの臨床検査技師の皆さんの果たす役割は極めて大きく,本稿において,本検査における甲状腺超音波検査の役割について概説する.

参考文献

1)Yasumura S, Ohira T, Ishikawa T, et al : Achievements and current status of the Fukushima Health Management Survey. J Epidemiol 32(Suppl 12):S3-S10,2022
2)Shimura H, Suzuki S, Yokoya S, et al : A comprehensive review of the progress and evaluation of the Thyroid Ultrasound Examination program, the Fukushima Health Management Survey. J Epidemiol 32(Suppl 12):S23-S35,2022
3)貴田岡正史,宮本幸夫,福成信博,他:甲状腺結節(腫瘤)超音波診断基準.超音波医 38:667-670,2011
4)鈴木眞一:結節性病変.日本乳腺甲状腺超音波医学会甲状腺用語診断基準委員会(編):甲状腺超音波診断ガイドブック 改訂第3版.南江堂,pp48-53,2016
5)Shimura H, Matsumoto Y, Murakami T, et al : Diagnostic strategies for thyroid nodules based on ultrasonographic findings in Japan. Cancers (Basel) 13:4629,2021

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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