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文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻6号

2023年06月発行

文献概要

病気のはなし

食中毒

著者: 小西典子1 甲斐明美2

所属機関: 1東京都健康安全研究センター微生物部 2日本食品衛生協会食品衛生研究所微生物試験部

ページ範囲:P.646 - P.657

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Point

●2001年以前には腸炎ビブリオやサルモネラ属菌による食中毒が多発したが,最近ではこれらの食中毒は激減した.一方,2004年以降ではノロウイルスやカンピロバクターによる食中毒が主体を占めている.患者数ではノロウイルスによる食中毒が最も多い状況は続いている.

●2018年以降には寄生虫(アニサキス)食中毒が最も多い.これは2012年にアニサキスが食中毒の病因物質に追加されたことを契機に,報告体制が整ってきたことが大きく関係している.

●食中毒の主な原因食品は,サルモネラ食中毒では鶏卵から鶏肉が主体に移り,腸管出血性大腸菌(EHEC)食中毒では牛肉およびその内臓肉のみならず,野菜やその加工品が原因となった事例も発生している.

●最近,astA遺伝子保有大腸菌による集団下痢症が発生し,注目されている.

参考文献

1)厚生労働省.食中毒統計資料. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html(2023年1月7日アクセス).
2)小西典子,甲斐明美.サルモネラによる食中毒.臨検.2022;66:40-46.
3)高橋正樹,横山敬子.Campylobacter jejuni感染症が関連したGuillain-Barré症候群の疫学.IASR 2006;27:175-176. https://idsc.niid.go.jp/iasr/27/317/dj3176.html(2023年1月7日アクセス)
4)国立感染症研究所.下痢原性大腸菌 2011年現在.IASR 2012;33:1-3. https://www.niid.go.jp/niid/ja/ecoli-m/ecoli-iasrtpc/964-tpc383.html(2023年1月7日アクセス)
5)JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会(編).腸管感染症.JAID/JSC感染症治療ガイド 2019.日本感染症学会・日本化学療法学会,2019:pp.275-291.
6)厚生労働省健康局結核感染症課.急性下痢症.抗微生物薬適正使用の手引き 第2版.2019:pp.21-29. https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000573655.pdf(2023年1月7日アクセス)
7)公益社団法人日本食品衛生協会.食品衛生検査指針 微生物編 改訂第2版 2018.2018.
8)国立感染症研究所.病原体検出マニュアル. https://www.niid.go.jp/niid/ja/labo-manual.html(2023年1月7日アクセス)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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