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文献概要
はじめに
ループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant:LA)は,試験管内でリン脂質依存性凝固反応を阻害する免疫グロブリンであり,固相化抗原を用いた免疫学的測定により検出される抗カルジオリピン抗体(anti-cardiolipin antibody:aCL),抗β2グリコプロテインI抗体(anti-β2-glycoprotein I antibody:aβ2GPI)などとともに,抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid antibody syndrome:APS)の診断に用いられる抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibody:aPL)である.活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)や希釈ラッセル蛇毒時間(diluted Russell's viper venom time:dRVVT)などで凝固時間の延長所見を認め,判定には以下の4つの条件を全て満たすことが必要となる.
①リン脂質依存性凝固検査(APTT,dRVVT,カオリン凝固時間など)の延長.
②正常血漿との混合試験で延長した凝固時間が補正されない.
③過剰のリン脂質の添加により凝固時間が補正または短縮する.
④他の凝固異常(凝固因子欠乏や凝固因子インヒビターなど)が除外できる.
しかし,こうした手順に従って測定することは煩雑であり,検査室にとっては必ずしも容易な検査ではなく,標準化に向けた多くの課題が存在する(表1).本稿では,一連の検査における注意点などについて概説したい.
ループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant:LA)は,試験管内でリン脂質依存性凝固反応を阻害する免疫グロブリンであり,固相化抗原を用いた免疫学的測定により検出される抗カルジオリピン抗体(anti-cardiolipin antibody:aCL),抗β2グリコプロテインI抗体(anti-β2-glycoprotein I antibody:aβ2GPI)などとともに,抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid antibody syndrome:APS)の診断に用いられる抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibody:aPL)である.活性化部分トロンボプラスチン時間(activated partial thromboplastin time:APTT)や希釈ラッセル蛇毒時間(diluted Russell's viper venom time:dRVVT)などで凝固時間の延長所見を認め,判定には以下の4つの条件を全て満たすことが必要となる.
①リン脂質依存性凝固検査(APTT,dRVVT,カオリン凝固時間など)の延長.
②正常血漿との混合試験で延長した凝固時間が補正されない.
③過剰のリン脂質の添加により凝固時間が補正または短縮する.
④他の凝固異常(凝固因子欠乏や凝固因子インヒビターなど)が除外できる.
しかし,こうした手順に従って測定することは煩雑であり,検査室にとっては必ずしも容易な検査ではなく,標準化に向けた多くの課題が存在する(表1).本稿では,一連の検査における注意点などについて概説したい.
参考文献
1)家子正裕,他.凝固検査検体取扱いに関するコンセンサス.日検血会誌.2016;17:149-157.
2)松田将門,他.血液凝固線溶検査における検体の遠心条件および保存条件の影響.日検血会誌.2020;21:136-144.
3)Tripodi A, et al. Lupus anticoagulant detection in anticoagulated patients. Guidance from the Scientific and Standardization Committee for lupus anticoagulant/antiphospholipid antibodies of the International Society on Thrombosis and Haemostasis. J Thromb Haemost. 2020; 18: 1569-1575.
4)森下英理子.直接型経口抗凝固薬(DOAC)が影響を及ぼす血液凝固検査について.日検血会誌.2022;23:328-335.
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