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文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻7号

2023年07月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈精度管理〉

compaRison—Rを用いた方法間比較のウェブアプリケーション

著者: 石原裕也1 藤井亮輔2

所属機関: 1藤田医科大学病院臨床検査部 2藤田医科大学医療科学部研究推進ユニット予防医科学分野

ページ範囲:P.802 - P.805

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はじめに

 臨床検査分野(主に検体検査)の日常業務において,試薬や測定機器の変更に伴い,新旧測定法の比較を行う機会は多い.目的に応じて適切な定量的な統計解析が行われるが,まず相関分析(correlation analysis)や回帰分析(regression analysis)が挙げられる.また,新旧測定法の関係式を検討する場合,通常の最小二乗法(ordinary least squares method)が用いられている.しかし,Y軸のみに誤差があると仮定した最小二乗法に対して,最近では,いずれの測定法においても測定誤差があると仮定したDeming法1)やPassing-Bablok(P-B)法2)が用いられる事例も増えている.その他にも,測定法の一致度の検証を行う主な解析方法として,Bland-Altman(B-A)プロット3)が挙げられる.

 しかし,Deming法,P-B法,B-Aプロットを実際に行う場合,商用の統計ソフトウエア(有償)や日本臨床化学会(Japan Society of Clinical Chemistry:JSCC)が提供しているファイルが必要になるため,誰でも簡単に使用でき,柔軟かつわかりやすいインターフェースをもつツールは限られている.

 本誌49巻7号では,誰でも無料で使用できる統計解析ソフトウエアであるR(https://cran.r-project.org/)を用いて測定法の比較を行う方法が紹介された4).しかし,Rの環境設定やその後の操作は,初心者にとって煩雑でハードルが非常に高い.そこで,筆者らはRを用いた測定法の比較の解析をウェブで簡単に実施できるアプリケーション「compaRison」(以下,本アプリ)を開発し公開した(https://rf-epidemiol.shinyapps.io/compaRison/,ソースコードのリンクhttps://github.com/fujichaaan/compaRison).本アプリの特徴として,①さまざまなデータ形式が読み込める点,②複数の回帰分析を同時に扱える点,③シンプルかつ自由度の高いユーザーインターフェースで実施できる点,④無償で使用できる点が挙げられる.本稿では,本アプリに搭載されているExample dataを用いて,機能や使用方法について詳説する(2023年2月時点).

参考文献

1)Deming WE(ed). Statistical adjustment of data. Wiley, 1943 (Dover Publications edition, 1985).
2)Passing H, Bablok W. A new biometrical procedure for testing the equality of measurements from two different analytical methods. Application of linear regression procedures for method comparison studies in clinical chemistry, Part I. J Clin Chem Clin Biochem. 1983; 21: 709-720.
3)Bland JM, Altman DG. Statistical methods for assessing agreement between two methods of clinical measurement. Lancet 1986; 1: 307-310.
4)岡本康幸.フリーソフトRを用いた統計解析—測定値の互換性に関する検討.検と技.2021;49:781-785.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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