文献詳細
FOCUS
文献概要
はじめに
Staphylococcus属菌は,ヒトや哺乳動物などの皮膚や粘膜に幅広く分布し,クラスター状に増殖する通性嫌気性のグラム陽性球菌である.菌種は遺伝子学的手法により分類が進み,2000年ごろには30菌種ほどであったが,2023年5月現在64菌種と倍近くに上る1).菌種が増加すれば,菌種の同定にはより多くの知識が必要となるが,質量分析装置の急速な普及により容易に菌種同定が行われるようになった.その結果,得られた菌種をそのまま報告できるようになった施設も少なくない.しかし,感染症治療への診断支援(diagnostic stewardship:DS)の実践をしていくには,菌の性状や特徴,患者背景,病態,薬剤感受性試験結果,疫学などの知識や技術を学び,それらを同定菌名に付随して報告することが重要となる.
本稿では,Staphylococcus aureusを中心に,最近の話題に触れるとともに,臨床上重要な菌種や薬剤感受性試験の注意点にフォーカスを当て記述する.
Staphylococcus属菌は,ヒトや哺乳動物などの皮膚や粘膜に幅広く分布し,クラスター状に増殖する通性嫌気性のグラム陽性球菌である.菌種は遺伝子学的手法により分類が進み,2000年ごろには30菌種ほどであったが,2023年5月現在64菌種と倍近くに上る1).菌種が増加すれば,菌種の同定にはより多くの知識が必要となるが,質量分析装置の急速な普及により容易に菌種同定が行われるようになった.その結果,得られた菌種をそのまま報告できるようになった施設も少なくない.しかし,感染症治療への診断支援(diagnostic stewardship:DS)の実践をしていくには,菌の性状や特徴,患者背景,病態,薬剤感受性試験結果,疫学などの知識や技術を学び,それらを同定菌名に付随して報告することが重要となる.
本稿では,Staphylococcus aureusを中心に,最近の話題に触れるとともに,臨床上重要な菌種や薬剤感受性試験の注意点にフォーカスを当て記述する.
参考文献
1)List of Prokaryotic names with Standing in Nomenclature. Staphylococcus. https://lpsn.dsmz.de/search?word=Staphylococcus(2023年5月7日アクセス)
2)Ogura K, et al. Predominance of ST8 and CC1/spa-t1784 methicillin-resistant Staphylococcus aureus isolates in Japan and their genomic characteristics. J Glob Antimicrob Resist. 2022; 28: 195-202.
3)加藤英明,他.院内・外来で分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の臨床的,分子疫学的解析.感染症誌.2017;91:405-410.
4)仁木誠.コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 Coagulase negative staphylococci(CNS).検と技.2021;49:250-252.
5)Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI). CLSI M100-ED33: 2023 Performance Standards for Antimicrobial Susceptibility Testing, 33rd Edition. http://em100.edaptivedocs.net/GetDoc.aspx?doc=CLSI%20M100%20ED33:2023&sbssok=CLSI%20M100%20ED33:2023%20TABLE%202C&format=HTML#CLSI%20M100%20ED33:2023%20TABLE%202C(2023年5月7日アクセス)
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