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増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 2章 検査前プロセス
血漿分離処理
著者: 家子正裕1
所属機関: 1札幌保健医療大学保健医療学部看護学科
ページ範囲:P.921 - P.924
文献購入ページに移動はじめに
出血や血栓症をきたす止血機能異常症は時に致死的であり,その診断や治療効果の判定に用いる止血機能検査は重要な検査である.例えば,プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)は外因系および共通系凝固因子量を反映し,これらの凝固因子欠乏症のスクリーニング検査として用いられるばかりでなく,PT国際標準比(PT-international normalized ratio:PT-INR)はワルファリンによる抗凝固療法のモニタリング検査として頻用される.PT-INRは,どの試薬で測定してもほぼ同様な値となるように標準化された指標である.しかし,標準化されているPT-INRも,血漿サンプルの作製処理が異なれば値も異なる.その最も大きな要因の1つは,全血サンプルから血漿サンプルを作製するために行う遠心分離処理方法の違いである.特に,血漿サンプル中の残存血小板数が大きな影響をもたらすことは以前から指摘されていた.
本稿では,血漿サンプル作製時における適切な遠心分離処理方法を解説するとともにその重要性を再確認したい.
出血や血栓症をきたす止血機能異常症は時に致死的であり,その診断や治療効果の判定に用いる止血機能検査は重要な検査である.例えば,プロトロンビン時間(prothrombin time:PT)は外因系および共通系凝固因子量を反映し,これらの凝固因子欠乏症のスクリーニング検査として用いられるばかりでなく,PT国際標準比(PT-international normalized ratio:PT-INR)はワルファリンによる抗凝固療法のモニタリング検査として頻用される.PT-INRは,どの試薬で測定してもほぼ同様な値となるように標準化された指標である.しかし,標準化されているPT-INRも,血漿サンプルの作製処理が異なれば値も異なる.その最も大きな要因の1つは,全血サンプルから血漿サンプルを作製するために行う遠心分離処理方法の違いである.特に,血漿サンプル中の残存血小板数が大きな影響をもたらすことは以前から指摘されていた.
本稿では,血漿サンプル作製時における適切な遠心分離処理方法を解説するとともにその重要性を再確認したい.
参考文献
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