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増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 3章 検査プロセス
AT/PS/PC
著者: 寺上貴子1 森下英理子2
所属機関: 1金沢大学附属病院検査部 2金沢大学大学院医薬保健学総合研究科保健学専攻医療科学領域腫瘍検査学分野
ページ範囲:P.978 - P.983
文献購入ページに移動アンチトロンビン(antithrombin:AT)は,肝臓で合成される分子量約58,000の血液凝固阻害作用を有するセリンプロテアーゼインヒビターである.トロンビン,活性化血液凝固第Ⅹ因子(actibated factor Ⅹa:FⅩa),活性化血液凝固第Ⅺ因子(FⅪa),カリクレインなどの凝固系因子,ならびに線溶系のプラスミンと1対1で複合体を形成することで酵素活性を阻害し,抗凝固作用を発揮する.ATは単独ではその阻害反応はゆっくり進むが,ヘパリン存在下では構造変化が生じて約1,000倍に加速する.ヘパリンが結合することにより抗トロンビン活性が促進するため,ヘパリンの抗凝固効果は血漿AT活性に依存する.大部分は遊離型として存在し,一部は血管内皮細胞上のヘパリン様物質と結合して存在する.ATの血中半減期は健常者で約65時間であるが,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)では短縮する.
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