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増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 3章 検査プロセス
ADAMTS13活性/ADAMTS13インヒビター
著者: 山田真也1 松本雅則2
所属機関: 1奈良県立医科大学輸血部 2奈良県立医科大学血液内科
ページ範囲:P.1005 - P.1008
文献購入ページに移動ADAMTS13とは,a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13の略であり,フォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor:VWF)の特異的切断酵素である.通常,VWFは血管内皮細胞や骨髄巨核球に貯蔵され,血管内皮の障害・出血などの際に血中に放出される.VWFは分子量約50万〜2,000万に及ぶマルチマー構造を呈するが,高分子量のマルチマーほど止血能が高い.血管内皮や骨髄巨核球から放出されるVWFには,超巨大VWF(unusually-large VWF:UL-VWF)マルチマーが含まれているが,ADAMTS13により部分的に切断されることで,適切なサイズのVWFマルチマーとなり,止血が行われる.VWFの構造を図1に示した.
ADAMTS13が著減すると,血中にUL-VWFマルチマーが残存し,過剰な血栓形成により致死的な血栓症を呈する.先天的にADAMTS13が低下しているものを,先天性血栓性血小板減少性紫斑病(congenital thrombotic thrombocytopenic purpura:cTTP),別名Upshaw-Schulman syndrome(USS)と呼ぶ.一方,ADAMTS13に対する自己抗体が産生されることで後天的にADAMTS13活性が低下したものを,後天性TTPと呼ぶ.ADAMTS13活性,ADAMTS13インヒビター力価は,これらの疾患の診断,治療方針決定のために重要な検査項目である.
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