icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻9号

2023年09月発行

文献概要

増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 4章 検査後プロセス

APTTによるヘパリンモニタリングとしての役割

著者: 藤森祐多1

所属機関: 1慶應義塾大学病院臨床検査技術室

ページ範囲:P.1034 - P.1037

文献購入ページに移動
はじめに

 ヘパリンは1916年に医学生だったJay Mcleanによりイヌの肝臓および心臓から発見された抗凝固物質である1).その発見から100年以上が経った現在も抗凝固療法を目的に日常臨床で広く使用されている抗凝固薬である.現在臨床で用いられるヘパリンはイヌ由来ではなく,ブタの小腸粘膜由来のヘパリンである.ヘパリンは単一の分子ではなく,分子量3,000〜35,000の酸性ムコ多糖であり,未分画ヘパリンと呼ばれる2)

 1990年代に未分画ヘパリンから化学的あるいは酵素によって解重合することで得られる低分子量ヘパリンが開発された1).低分子量ヘパリンは未分画ヘパリンと同様に抗凝固薬として日常臨床で使用されているが,出血リスクがより低いとされている2).さらに,ヘパリンの最小単位のペンタサッカライドであるフォンダパリヌクスが開発され,抗凝固薬としての有効性が確認されている.各薬剤の特徴を表1にまとめた.

 なお,本稿における“ヘパリン”とは,未分画ヘパリンのことを示す.

参考文献

1)Paschoa AF. Heparin: 100 years of pleiotropic effects. J Thromb Thrombolysis. 2016; 41: 636-643.
2)河野徳明.抗凝固薬—未分画ヘパリンおよびヘパリン類縁物質の使用法.日血栓止血会誌.2019;30:100-105.
3)北島勲.凝固・線溶と臨床検査.日血栓止血会誌.2008;19:462-466.
4)Swayngim R, et al. Comparison of clinical outcomes using activated partial thromboplastin time versus antifactor-Ⅹa for monitoring therapeutic unfractionated heparin: A systematic review and meta-analysis. Thromb Res. 2021; 208: 18-25.
5)藤森祐多.抗凝固薬モニタリング.日血栓止血会誌.2022;33:351-355.
6)Toulon P, et al. APTT therapeutic range for monitoring unfractionated heparin therapy. Significant impact of the anti-Ⅹa reagent used for correlation. J Thromb Haemost. 2021; 19: 2002-2006.
7)Brill-Edwards P, et al. Establishing a therapeutic range for heparin therapy. Ann Intern Med. 1993; 119: 104-109.
8)Kitchen S, et al. Measurement of non-coumarin anticoagulants and their effects on tests of Haemostasis: Guidance from the British Committee for Standards in Haematology. Br J Haematol. 2014; 166: 830-841.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?