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文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻9号

2023年09月発行

文献概要

増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 4章 検査後プロセス

—症例提示①—後天性血栓性血小板減少性紫斑病(後天性TTP)

著者: 上田恭典1

所属機関: 1倉敷中央病院血液内科・血液治療センター・外来化学療法センター

ページ範囲:P.1038 - P.1042

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はじめに

 血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)は,微小血管における血小板を中心とする血栓形成によって,血小板減少,機械的な溶血性貧血,阻血による臓器障害を呈する血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)の代表的な疾患の1つである.病態と病因の詳細は他稿で述べられるが,フォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor:VWF)の切断酵素であるADAMTS13(a disintegrin-like and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motifs 13)が先天的に欠乏,もしくは中和抗体や結合抗体によって活性が著減するために,血管内皮から分泌されたVWFの非常に大きな重合体が,切断されないまま血小板と結合し,微小血管でVWF血小板血栓を生じることによって惹起される病態であることが判明している.TTPは現在では,ADAMTS13活性が10%未満の場合を指し,基礎疾患のない場合も,他疾患に続発した場合もTTPであるとの診断となる1)

 ADAMTS13についての知見が得られるまでは,TTPは“血小板減少,微小血管性溶血性貧血,腎機能障害,発熱,動揺する神経障害”の5徴を呈する疾患とされてきた.本稿では,後天性免疫性のTTPについて,病態の異なった3症例の初診時検査結果を提示し,診断に至るまでの特徴的で重要な項目や問題点について述べ,全体的な特徴について触れたい.

参考文献

1)松本雅則,他.血栓性血小板減少性紫斑病診療ガイド2023.臨血.2023;64:445-460.
2)上田恭典.血栓性微小血管症(TMA)の診断.検と技.2020;48:1219-1225.
3)Matsumoto M, et al. Acquired idiopathic ADAMTS13 activity deficient thrombotic thrombocytopenic purpura in a population from Japan. PLoS One. 2012; 7: e33029.
4)Coppo P, et al. Predictive features of severe acquired ADAMTS13 deficiency in idiopathic thrombotic microangiopathies: the French TMA reference center experience. PLoS One. 2010; 5: e10208.
5)Bendapudi PK, et al. Derivation and external validation of the PLASMIC score for rapid assessment of adults with thrombotic microangiopathies: a cohort study. Lancet Haematol. 2017; 4: e157-e164.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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