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増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 4章 検査後プロセス
—症例提示②—後天性血友病A
著者: 日笠聡1
所属機関: 1兵庫医科大学呼吸器・血液内科
ページ範囲:P.1043 - P.1046
文献購入ページに移動出血傾向の既往がないにもかかわらず,後天的に凝固因子に対する抗体(インヒビター)が出現し,さまざまな出血症状をきたすことがある.これらのほとんどは凝固第Ⅷ因子(factor FⅧ:FⅧ)に対する自己抗体による後天性血友病Aであり,他の凝固因子に対する自己抗体は極めてまれである.
一部の先天性血友病患者にも,凝固因子の補充療法によって,補充した凝固因子に対するインヒビターが出現するが,この場合は同種抗体(alloantibody)であり,後天性凝固因子インヒビターにみられる自己抗体(autoantibody)とは区別される.
後天性血友病Aは特に基礎疾患を有しない場合もあるが,自己免疫疾患や悪性腫瘍,分娩,薬剤投与などの基礎疾患から発病する場合が多い1,2).発症年齢は50歳以上が90%近くを占め,60〜70歳台での発症が最も多いことから,加齢も発症要因の1つと考えられている1,2).女性の場合はしばしば分娩後に発症するため,20〜30歳台にもピークがあるが,全体の男女比には差はない1,2).
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