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文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻9号

2023年09月発行

文献概要

増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 4章 検査後プロセス

—症例提示②—後天性血友病A

著者: 日笠聡1

所属機関: 1兵庫医科大学呼吸器・血液内科

ページ範囲:P.1043 - P.1046

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はじめに

 出血傾向の既往がないにもかかわらず,後天的に凝固因子に対する抗体(インヒビター)が出現し,さまざまな出血症状をきたすことがある.これらのほとんどは凝固第Ⅷ因子(factor FⅧ:FⅧ)に対する自己抗体による後天性血友病Aであり,他の凝固因子に対する自己抗体は極めてまれである.

 一部の先天性血友病患者にも,凝固因子の補充療法によって,補充した凝固因子に対するインヒビターが出現するが,この場合は同種抗体(alloantibody)であり,後天性凝固因子インヒビターにみられる自己抗体(autoantibody)とは区別される.

 後天性血友病Aは特に基礎疾患を有しない場合もあるが,自己免疫疾患や悪性腫瘍,分娩,薬剤投与などの基礎疾患から発病する場合が多い1,2).発症年齢は50歳以上が90%近くを占め,60〜70歳台での発症が最も多いことから,加齢も発症要因の1つと考えられている1,2).女性の場合はしばしば分娩後に発症するため,20〜30歳台にもピークがあるが,全体の男女比には差はない1,2)

参考文献

1)Knoebl P, et al. Demographic and clinical data in acquired hemophilia A: results from the European Acquired Haemophilia Registry (EACH2). J Thromb Haemost. 2012; 10: 622-631.
2)酒井道生,他.後天性血友病A診療ガイドライン 2017年改訂版.日血栓止血会誌.2017;28:715-747.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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