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増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 4章 検査後プロセス
—症例提示④—FDP・Dダイマーの逆転
著者: 徳永尚樹1
所属機関: 1川島病院検査室
ページ範囲:P.1051 - P.1054
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フィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation products:FDP)はフィブリノゲンまたはフィブリン分解産物の総称であり,その増加は一次線溶および二次線溶の亢進を示す.一方,Dダイマー(D-dimer:DD)は,活性化凝固第XIII因子によりフィブリノゲンのD分画が架橋結合した安定化フィブリンが分解されることで生成されるFDP分画の1つであり,その存在は二次線溶の亢進を意味し,血栓形成の証拠となる1).これらは出血傾向の評価に加え,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)の診断や,肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症などの静脈血栓症,がん関連血栓症などさまざまな病態の把握において,欠かせない検査である.
FDPとDDの値は理論的に逆転しないが,しばしば値が逆転する場合がある.本稿では,FDP,DDの異常値のなかでも,特にFDP,DDが逆転した場合の対応方法について,症例を提示しながら解説する.
フィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation products:FDP)はフィブリノゲンまたはフィブリン分解産物の総称であり,その増加は一次線溶および二次線溶の亢進を示す.一方,Dダイマー(D-dimer:DD)は,活性化凝固第XIII因子によりフィブリノゲンのD分画が架橋結合した安定化フィブリンが分解されることで生成されるFDP分画の1つであり,その存在は二次線溶の亢進を意味し,血栓形成の証拠となる1).これらは出血傾向の評価に加え,播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)の診断や,肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症などの静脈血栓症,がん関連血栓症などさまざまな病態の把握において,欠かせない検査である.
FDPとDDの値は理論的に逆転しないが,しばしば値が逆転する場合がある.本稿では,FDP,DDの異常値のなかでも,特にFDP,DDが逆転した場合の対応方法について,症例を提示しながら解説する.
参考文献
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