文献詳細
文献概要
増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 5章 疾患まとめ
血友病
著者: 天野景裕1
所属機関: 1東京医科大学臨床検査医学分野
ページ範囲:P.1068 - P.1072
文献購入ページに移動血友病とは,血液凝固第Ⅷ因子(factor Ⅷ:FⅧ)あるいは第Ⅸ因子(FⅨ)の量的,質的異常によるX染色体連鎖性潜性遺伝形式の先天性出血性疾患であり,FⅧ欠乏症が血友病A,FⅨ欠乏症が血友病Bである.血友病Aの発生頻度は男子出生約5,000人に1人で,血友病Bは血友病Aの約5分の1である.令和4年度の「血液凝固異常症全国調査報告書」(令和4年5月31日時点)では,血友病Aの生存患者数は5,776人(うち女性が94人)で,血友病Bは1,294人(うち女性が38人)であった1).
血友病の出血症状は急性出血として以下のような出血が挙げられる(血友病Aと血友病Bでその出血症状に差はない).内出血は皮下出血,関節内出血,筋肉内出血,頭蓋内出血で,外出血は口腔内・歯肉出血,鼻出血,腎出血(血尿),消化管出血,外傷後出血,血精液など.乳児期後半頃より軽微な打撲による皮下出血が反復して出現し,幼児期以降は関節内出血や筋肉内出血などの深部出血が多くみられるようになるのが特徴的である2).慢性的に関節内出血を繰り返すと,関節変形と拘縮を生じて血友病性関節症となり,患者の生活の質(QOL)を大きく低下させる.
参考文献
掲載誌情報