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文献詳細

雑誌文献

検査と技術51巻9号

2023年09月発行

文献概要

増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 5章 疾患まとめ

血友病

著者: 天野景裕1

所属機関: 1東京医科大学臨床検査医学分野

ページ範囲:P.1068 - P.1072

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疾患概念・疫学

 血友病とは,血液凝固第Ⅷ因子(factor Ⅷ:FⅧ)あるいは第Ⅸ因子(FⅨ)の量的,質的異常によるX染色体連鎖性潜性遺伝形式の先天性出血性疾患であり,FⅧ欠乏症が血友病A,FⅨ欠乏症が血友病Bである.血友病Aの発生頻度は男子出生約5,000人に1人で,血友病Bは血友病Aの約5分の1である.令和4年度の「血液凝固異常症全国調査報告書」(令和4年5月31日時点)では,血友病Aの生存患者数は5,776人(うち女性が94人)で,血友病Bは1,294人(うち女性が38人)であった1)

 血友病の出血症状は急性出血として以下のような出血が挙げられる(血友病Aと血友病Bでその出血症状に差はない).内出血は皮下出血,関節内出血,筋肉内出血,頭蓋内出血で,外出血は口腔内・歯肉出血,鼻出血,腎出血(血尿),消化管出血,外傷後出血,血精液など.乳児期後半頃より軽微な打撲による皮下出血が反復して出現し,幼児期以降は関節内出血や筋肉内出血などの深部出血が多くみられるようになるのが特徴的である2).慢性的に関節内出血を繰り返すと,関節変形と拘縮を生じて血友病性関節症となり,患者の生活の質(QOL)を大きく低下させる.

参考文献

1)エイズ予防財団.令和4年度(2022年度)血液凝固異常症全国調査報告書. https://api-net.jfap.or.jp/image/data/blood/r04_research/r04_gaiyou.pdf(2023年6月18日アクセス)
2)天野景裕.血友病の症状.宮川義隆,天野景裕(編).はじめてでも安心 血友病の診療マニュアル.医薬ジャーナル社.2017:pp.24-38.
3)天野景裕.新規止血製剤の開発状況.白幡聡,福武勝幸(編).みんなに役立つ血友病の基礎と臨床 改訂3版.医薬ジャーナル社.2016:pp.329-341.
4)稲葉浩,他.軽症血友病Aから検出される第Ⅷ因子R531H変異の第Ⅷ因子活性とその特徴.日血栓止血会誌.2008;19:788-795.
5)Manco-Johnson MJ, et al. Prophylaxis versus episodic treatment to prevent joint disease in boys with severe hemophilia. N Engl J Med. 2007; 357: 535-544.
6)Zimmerman TS, et al. Detection of carriers of classic hemophilia using an immunologic assay for antihemophilic factor (factor Ⅷ). J Clin Invest. 1971; 50: 255-258.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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