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増大号 匠から学ぶ 血栓止血検査ガイド 5章 疾患まとめ
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)
著者: 山田真也1 松本雅則2
所属機関: 1奈良県立医科大学輸血科 2奈良県立医科大学血液内科
ページ範囲:P.1125 - P.1129
文献購入ページに移動非典型溶血性尿毒症症候群(atypical hemolytic uremic syndrome:aHUS)の理解のためには,まず血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)を理解する必要がある.TMAは,微小血管障害性溶血性貧血,血小板減少,急性腎障害(acute kidney injury:AKI)を3徴候とする疾患概念である.TMAの中には,原因が比較的はっきりとしている志賀毒素産生性腸管出血性大腸菌関連溶血性尿毒症症候群(Shiga-toxin producing Escherichia coli hemolytic uremic syndrome:STEC-HUS)や血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)が存在する一方,その他のTMAに該当する疾患をどのように分類するかは,年代やガイドラインごとに異なってきた.その変遷を図1に示す.「非典型溶血性尿毒症症候群診療ガイド2023(案)」によると,TMAのうち,STEC-HUS,TTP,二次性TMA以外をaHUSとしているが問題が発生している.また,病態を反映した用語として,“補体介在性TMA”の名称が用いられることがあるが,国際的なコンセンサスは得られていない.aHUSは他の原因がなく,補体の異常により生じるTMAと捉えることができる.
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