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うつ病の客観的血液指標を求めて—メタボローム解析
著者: 康東天12 瀬戸山大樹2 加藤隆弘3
所属機関: 1香椎丘リハビリテーション病院 2九州大学病院検査部 3九州大学大学院医学研究院精神病態医学
ページ範囲:P.1124 - P.1126
文献購入ページに移動うつ病は気分障害の1つで,抑うつ気分と興味・喜びの喪失を主症状とし,自殺関連行動と最も関連のある疾患の1つでもある1).日本の生涯有病率は約10%で,現代社会のストレスの増加に伴い,うつ病の発症率も増加傾向にある.うつ病は職場離脱の主要な原因になることが多く,社会経済的な問題としてもますます注目を集めている.社会的ストレスの増加とうつ病の関連は,十分に対策が取られていない世界的な社会問題(unmet needs)として世界保健機関(WHO)も取り上げている2).
このように,うつ病の早期発見と正確な重症度判断の重要性が増しているが,その診断は依然として精神科医の問診などによる主観的判断に依存しており,精神科医の経験と専門的技量に強く依存している.また,その診断にはかなりの時間がかかり,専門医の数が不足している現状では世界的な問題となっている.臨床検査の役割は客観的指標を提供することであり,現状では臨床検査がうつ病の診断にほとんど寄与していないといえる.
そこで九州大学病院(以下,当院)の検査部は,精神科との共同研究のもと,うつ病に対する客観的パラメーターの提供と効率的な診断への寄与を目指し,2014年からメタボローム解析を開始した.
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