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文献詳細

雑誌文献

検査と技術52巻12号

2024年12月発行

FOCUS

頭部外傷診療における血液バイオマーカーの活用

著者: 末廣栄一1

所属機関: 1国際医療福祉大学成田病院脳神経外科

ページ範囲:P.1212 - P.1215

文献概要

はじめに

 血液検査のみで低侵襲的に疾患の診断や病態進行の予測,治療効果の評価などが可能である血液バイオマーカーの有用性は高い.一般的には腫瘍の治療効果の評価や,再発の有無の評価における腫瘍マーカーの使用が散見される.救急医療分野においては,虚血性心疾患領域での活用が最も多い.例えば,胸痛を主訴とする患者に対して高感度心筋トロポニンIを用いた評価を行い,見逃しによる病態の悪化を防ぎ,転帰改善に貢献している.

 近年,頭部外傷の分野においても血液バイオマーカーの活用が試みられている.特に軽症頭部外傷では,その臨床症状が乏しい上に,突然かつ急激に病態が悪化して転帰不良となるケースが散見される.そのため,軽症頭部外傷と甘く見ずに迅速に診断して,病態進行の予測をすることが重要である.

 これまで,頭部外傷の診断は,頭部CTの撮影像を用いて行ってきた.しかし,頭部CTを撮影できる施設は限られており,制約が生じる.そこで,頭部外傷をより簡便に診断する試みとして,血液バイオマーカーが注目を集めている.本稿では,頭部外傷の評価に用いられる血液バイオマーカーの紹介と,臨床現場における有用性について概説する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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