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増大号 POCUSの決め手。 早く、正確な診断のために 4章 症状別検査の進め方
胸痛
著者: 泉学1
所属機関: 1済生会宇都宮病院総合診療科
ページ範囲:P.288 - P.296
文献購入ページに移動はじめに
胸痛は,救急外来で遭遇する最も一般的な症状のうちの1つである.しかし,多くの胸痛症例において,“胸が痛い”という単一の症状で来院されることは,決して多くはない.むしろ,“不快感”“苦しい”“圧迫される”など一定しないことの方が多い印象である.また,胸部臓器における症状においても,心窩部の症状を表現型として訴えることもあり,最初から疾患を限定せずに対応する必要がある.例えば,胸痛という触れ込みで,救急外来を受診した症例が,実は腹部消化器疾患の放散痛であることも少なくない.胸痛(および胸部の症状)の診療に際しては,特に生命に直結するいわゆる“killer chest pain”に対して,正確かつ迅速さが求められる.
胸痛の鑑別疾患としては,急性冠症候群を始めとした虚血性心疾患,胸部大動脈解離,肺血栓塞栓症が鑑別診断の上位に挙げられるが,その他にも,心タンポナーデ,気胸(特に緊張性気胸),特発性食道破裂(Boerhaave症候群)を,特に生命予後に直結する重篤疾患として挙げる必要がある.さらには,急性心膜炎,急性心筋炎,不整脈(徐脈,頻拍),たこつぼ型心筋症(心筋症),心臓弁膜症,肥大型心筋症,胸膜炎,縦隔気腫,逆流性食道炎,消化器疾患(消化性潰瘍,胆石症,急性膵炎など),帯状疱疹,肋間神経痛,心臓神経症などの疾患群も鑑別に挙げておきたい.
胸痛は,救急外来で遭遇する最も一般的な症状のうちの1つである.しかし,多くの胸痛症例において,“胸が痛い”という単一の症状で来院されることは,決して多くはない.むしろ,“不快感”“苦しい”“圧迫される”など一定しないことの方が多い印象である.また,胸部臓器における症状においても,心窩部の症状を表現型として訴えることもあり,最初から疾患を限定せずに対応する必要がある.例えば,胸痛という触れ込みで,救急外来を受診した症例が,実は腹部消化器疾患の放散痛であることも少なくない.胸痛(および胸部の症状)の診療に際しては,特に生命に直結するいわゆる“killer chest pain”に対して,正確かつ迅速さが求められる.
胸痛の鑑別疾患としては,急性冠症候群を始めとした虚血性心疾患,胸部大動脈解離,肺血栓塞栓症が鑑別診断の上位に挙げられるが,その他にも,心タンポナーデ,気胸(特に緊張性気胸),特発性食道破裂(Boerhaave症候群)を,特に生命予後に直結する重篤疾患として挙げる必要がある.さらには,急性心膜炎,急性心筋炎,不整脈(徐脈,頻拍),たこつぼ型心筋症(心筋症),心臓弁膜症,肥大型心筋症,胸膜炎,縦隔気腫,逆流性食道炎,消化器疾患(消化性潰瘍,胆石症,急性膵炎など),帯状疱疹,肋間神経痛,心臓神経症などの疾患群も鑑別に挙げておきたい.
参考文献
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