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文献詳細

雑誌文献

検査と技術52巻5号

2024年05月発行

臨床検査のピットフォール

薬剤感受性検査結果解釈におけるピットフォール

著者: 伊藤志昂1

所属機関: 1東邦大学医療センター大橋病院臨床検査部

ページ範囲:P.524 - P.528

文献概要

はじめに

 正確な薬剤感受性検査とその結果の報告は,患者の適切な治療を導き,公衆衛生上の予防および対策に方向性を提供するために不可欠である.

 薬剤感受性検査の目的としては,①抗菌薬治療選択のための情報提供,②抗菌薬治療の最適化,③薬剤耐性菌の検出,④アンチバイオグラムへの活用などが挙げられる.本試験は臨床診断,感染症治療,および感染症対策において重要であり,異常な結果は感染症診療のみならず,感染対策上も問題を引き起こす可能性がある.

 各微生物の薬剤感受性検査については,わが国ではCLSI(Clinical and Laboratory Standards Institute)標準法のCLSI M100シリーズの判定基準がほとんどの施設で採用され,このドキュメントに準じた方法で測定されている.この基準には,使用する培地や判定基準などが詳細に記載されている.これらの条件を満たして初めて正しい薬剤感受性結果を得ることができ,また最新のブレイクポイントを使用して薬剤感受性判定を行うことで,臨床に有益な結果を返却することが可能となる.

 本稿では,日常検査で認められる異常な薬剤感受性データ(薬剤耐性菌,コンタミネーション,試薬の劣化)の原因とその対策について解説する.

参考文献

1)Hashimoto Y, et al. Dissemination and genetic analysis of the stealthy vanB gene clusters of Enterococcus faecium clinical isolates in Japan. BMC Microbiol. 2018; 18: 213.
2)Shigemoto N, et al. Emergence in Japan of an imipenem-susceptible, meropenem-resistant Klebsiella pneumoniae carrying blaIMP-6. Diagn Microbiol Infect Dis. 2012; 72: 109-112.
3)Imai W, et al. Simple Screening for Carbapenemase-Producing Enterobacteriaceae by Moxalactam Susceptibility Testing. J Clin Microbiol. 2017; 55: 2276-2279.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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